#meetooタグについて岡田育さんが何やら意見しているのがtweetで流れてきましたが、数年前にやり捨てられたと訴える女性の意見を封じる記事を久谷女子に取り上げ、最後まで個人として謝罪せず、同人グループとしても無責任な対応で風化させた岡田さんがそれをおっしゃるとは少なからず驚きました。するとid:otsuneさんからこんなレスが。
それ誰にどんな責任があるとお考えですか?
— ǝunsʇo ıɯnɟɐsɐɯ (@otsune) 2017年12月17日
独身同士の交際について、リベンジポルノ行為や名誉毀損行為が発生してることに加担するのは常識を疑いますけど、語る覚悟が無いんならid名だすのやめてくれませんか?
— ǝunsʇo ıɯnɟɐsɐɯ (@otsune) 2017年12月18日
リベンジポルノ行為や名誉毀損行為について自説を主張されるのであれば言論の自由としてそれは尊重しますけど。
どの辺がリベンジポルノか理解しかねますが、memeさんがblogに交際だかオフ会だかの顛末を書いていた時期にはブクマもコメントもしませんでしたよ。memeさんはotuneさんが久谷女子に寄稿された文章について謝罪訂正してくれと依頼する権利はあるなというのが率直な感想です。本を出せば感想は来る。 https://t.co/rVbZ4mzEHB
— くたびれはてこ (@kutabirehateko) 2017年12月26日
*1面識のないotsuneさんをひとりごとのなかでさん付けするのは「森鷗外さん」と書くような違和感があるので敬称を略しました。ご気分を害したらごめんなさい。
わたしの考えについては上記の通りですが、「肉体関係を無断で公開されたら匿名であっても問答無用でリベンジポルノであり名誉棄損」という考え方は被害者を抑圧する便利な言い分になりますね。性暴力に該当するセックスを公に告発するかどうか、公開範囲をどの程度にするかを加害者の許可に基づいて決める必要があるとしたら、いったい誰が被害者の意思を尊重するでしょうか。*2
強姦の検挙率が高いスウェーデンでは先日このような判決がおりたとのことです。
スイスの裁判所は、出会い系アプリで会った女性とセックス中に、女性が気づかないうちにコンドームを外していた47歳の仏人男性に対し、レイプの罪で禁錮12ヶ月の判決。「コンドーム無しなことを知っていたら女性はセックスを拒否していた」と判示。https://t.co/l8dcF2qbqv
— スウェーデン政治経済情報 (@sweden_social) 2017年1月17日
合意の上の性関係であったとしても、コンドームを黙って外していたらレイプ。ここで大切なのは避妊していたか、していないかではなく、「コンドーム無しなことを知っていたら女性はセックスを拒否していた」という判示です。
知っていたらセックスを拒否していたであろう情報を隠して関係するのはレイプだとすれば、それ以外のケース、たとえば交際を望む相手に交際を匂わせて関係し、その後そんなつもりはなかったというのはどうなのだろうと考えてしまいます。
仕事を斡旋すると匂わせる、または断れば仕事を奪うと仄めかして関係を迫るのは卑劣なパワハラであることは周知の事実ですし、結婚を仄めかして婚約者にだけゆるす行為を求めることは結婚詐欺です。
世の中には肉体関係に及ぶまで交際するかどうかは決められないという人もいますし、身体の相性が悪ければつきあう気も失せるという人もいるでしょう。いうまでもなく嫁入り前の娘と寝たら責任をとれという時代ではありません。
しかしそれならそれで事前にその旨を伝えて関係に及ぶのが誠実さというものではないでしょうか。就職でも医療でも不利な条件は常識的な範囲で開示してもらいたい、知ったうえでどうするか決めたいと誰もが思います。100%の避妊がないことを考えれば、とくに女性は関係する相手の気持ちを知ったうえでそれでもいいかどうか、判断する余地が必要です。
少なくとも思いを伝えた相手が会いに来てくれて、真剣に交際したいと伝えたあとに肉体関係を迫ってきたら期待するのは無理もないと思います。
otsuneさんがmemeさん(id:memeambivalent)に何をどう伝えたのか、実際何があったのかはわかりませんが、memeさんの言い分について不満や行き違いがあるなら直接交渉されたらよいと思います。それはそれとして、わたしは「知っていたら合意しなかった」という情報を伝えずに関係した相手のことを何らかの形で訴える権利は誰にでもあるだろうと思います。てか、それ#metooタグのテーマのひとつよね。
事実を理解していたら望まなかったであろう性関係を嘆く声を、第三者が頭から疑ってかかるのはセカンドレイプに当たるとわたしは考えます。伊藤詩織さんと山口敬之*3の例を出すまでもありませんが、加害者として訴えられている人を断罪するかどうかは別として、被害を主張する人の声には耳を傾けたい。よもやリベンジポルノだ名誉棄損だと口を塞ぐような真似はしたくありません。
既婚者だった、子供がいた、仕事を斡旋する権限はなかった、性病だった、避妊していなかった、避妊する気がなかった、結婚する気がなかった、そして交際する気がなかった。「気がなかった」かどうかを証明するのは難しそうですが、「交際する気がない、もしくは交際するかどうかわからないことについて相手に十分な説明をした。その上で性関係に合意した」と証明する義務があるのはスウェーデンでは加害者として訴えられている側だそうです。
日本では強姦があったことを被害者が証明しなくてはいけない。スウェーデンでは被疑者のほうに合意を証明させるための新しい法案づくりに着手している。レイプ一回を一件とカウントされるので、発生件数も多い。 / “連載対談 中島京子の「扉…” https://t.co/qkNRnjmIli
— くたびれはてこ (@kutabirehateko) 2017年12月26日
日本では合意がなかったことを被害者が証明しなければなりません。「殴られた」「盗まれた」「詐欺にあった」場合なら「殴ってよいと誤解させていないか」「譲渡すると誤解させたのではないか」「仕組みを理解した上で投資したのではないか」と被害者が執拗に迫られることはない。しかしどういうわけだか性関係はいまだに被害者側が圧倒的に不利です。
otsuneさんについてはもっと生々しい用語とセットで始終ブクマにあれこれ書かれているのを目にします。その発端となったのがmemeさんのブログだとして、それが果たしてリベンジポルノに当たるのか、名誉棄損に当たるのか、わたしは疑問に思います。
memeさんによればotsuneさんはホテル代の5000円を返済していないということですが、借りてもいないお金を返せと言われているならこれは名誉棄損でしょう。実際借りていらっしゃるならお返しになった上で相応の対応をされてはいかがですか。
いずれにしてもwebで知名度のある女性陣が出す同人誌に寄稿文を通じてmemeさんの話は事実無根だというよりはずっといい結果になったのではないかと思いますよ。あの本が出なければわたしは男女関係のごたごたを知ることも、久谷女子について、また寄せられた文章についての感想を持つこともありませんでした。
*1:id:memeambivalentさんはこの件を id:xevraさんに個人的に相談されたそうだけれど、わたしはこの件で彼女と一度もやり取りをしていない。ブログと同人誌で公開されたものについて感想を持つ以上の情報も肩入れする理由もない。
*2:実際名前だしたら訴えられかねないと怯ええている被害者は少なくないと思う。性暴力の事実関係の証明と比べ、プライバシー侵害や名誉棄損のハードルは低い。相手が世慣れた強者男性なら女性はとくに脅威を覚えるし、実際その種の脅しを山口敬之も伊藤詩織さんにかけている。
*3:詩織さんには支援の思いを込めて敬称。