セブ島留学のメリット
渡航費、学費、生活費ともに費用が安い
四週間のホテル代、食費、洗濯と掃除含めて学費は115000円。教材費その他現地で支払う諸経費が3万円ほど。これに旅行保険と渡航費がかかる。わたしたちは今回チェジュ航空を使ったが、福岡から釜山経由でセブ島まで二人分往復で4万1990円だった。直行便は10万前後で、成田から7万円という人もいた。
母の旅行保険は一万円ほど。*1総額約175000円。食事をすべて学校で済ませればこれ以上お金はかからない。学校主催のアクティビティ(観光ツアーのようなもの)は日本円にして一回6千円前後なので、現地で遊ぶお金やお土産代を入れても総額20万円前後で済む。
そうはいっても20万円は大きい気がすると思うが、日本でホテルなりドミトリーなりに長期滞在して食事をすべて外食で済ませてごらんなさい。とてもこんな額では納まりませんよ。これに週中毎日英会話がついてくるんですからね。
長期滞在手続きが簡単
費用が安いので長期滞在がしやすい。VISAの延長手続きも簡単。3Dアカデミーではスタッフが手続きをサポートしてくれるので、長期滞在者も多い。途中一度出国するとお得に海外旅行ができるらしく、セブ島からタイへ旅行に出たりするのだとか。
マンツーマンレッスン枠が多い
これはフィリピン留学の特徴のひとつらしい。講師はでたらめ英語を上手く拾って会話を膨らませてくれるプロで、英語に自信がなくても心配はいらない。これは断言できる。電子辞書を使ったり、スマートフォンを持ち込んで翻訳サイトに丸投げしたりしながら会話を続けることもできる。聞き取りやすいようにゆっくりはっきり発音してくれる。アットホームで超ゆるい。
実力のある教師を選べる
英語圏に育ったというだけで英会話講師に採用される白人と違って、フィリピン人が英語講師の座をつかむには厳しく熾烈な戦いがある。彼らの多くは語学力を頼りに地方から都心部へやってきたハードワーカーで、家族への送金など切実に資金を必要とする理由がある。講師はみな笑顔をたやさず柔和な応対をしてくれるけれど、語学についてはきちんとした基準をクリアしているエリートばかりだ。
日本人差別がない
差別がないことに気づかないレベルで差別がない。脇の甘いツーリストが狙われるのは万国共通だけれど、「どうせ日本人だから英語しゃべれないんでしょ」という態度をとられることもないし、街に出て差別語で揶揄されることもない。どちらかといえば日本人が思い上がって調子に乗らないように気を付けなければならない。
3Dアカデミーの強み
日本人スタッフによるきめ細やかなサポート
「留学中は英語以外使わない覚悟でいけ」と兄がいってきたが、3Dアカデミースタッフの大半は日本人である。校内にいる限り日本人が困るようなことはほとんどないと思っていい。*2
空港に迎えにきてくれたのは日本人スタッフで、母が学校のオフィスで訪問医の診察を受けときも日本人スタッフが通訳をしてくれた。母の旅行保険をプリントアウトしそびれてきてしまったが、これもスタッフが転送したメールをプリントアウトしてくれた。
こうしたちょっとした問題を英語で説明して解決するのはいい勉強になるけれど、身体が弱っているときや混乱しているときに日本人スタッフが助けてくれるのはありがたい。わたしは現地スタッフがなかなか持ってきてくれないドライヤーを日本人スタッフから個人的に貸していただいてとても助かったし、英語の教材を買うときも意見を聞かせていただいて参考になった。
日本人に馴染み深い味付けの食事が三食出る
食堂で提供される食事は日本食か、日本食風にアレンジされた多国籍料理である。友人が味噌汁を持たせてくれたが、味噌汁も出る。野菜が多く、ご飯もよそり放題でお腹いっぱい食べられる。昼には南国フルーツが出るので楽しみだ。激辛、激甘、激酸っぱいものは出ない。あまりに日本食なので現地料理を楽しみにしていた友人が画像をみてがっかりしている。
掃除、洗濯など授業以外のケアが手厚い
目が覚めたら着替えて食堂へいって、朝食を食べたら学校へ、終わったらダッシュで食堂で昼食、部屋に戻って昼寝をしたら午後の授業、終わったらダッシュで食堂で夕食。週に二日は部屋に戻れば掃除が終わり、洗濯物が戻ってきている。買い物もせず、料理もせず、掃除も洗濯もせず「お腹空いたね、今日のご飯はなんだろね」と勉強だけやっていればいい環境がどれほど素晴らしいかは家政をあずかる人以外にはわからないかもしれない。控え目にいって最高。
校内、寮内、ホテル内でwi-fi常時接続無料
Amazonで従量課金のGlocal wi-fiを買ったが、学校とホテルにいればほとんど使わずに済む。海外で安定したネット接続ができるのはとてもありがたい。校内にある常時接続の学習室も無料で利用できる。こうしてブログも書けるし、仕事のメールもチェックできるし、授業中にGoogle翻訳も使える。ホテルにも学校が提供してくれているwi-fiがあるのがすばらしい。
校内、寮内、ホテル内でミネラルウォーターが無料
寮になっているホテルと校内には各所にウォーターサーバーがあり、24時間冷水と熱湯が出る。水道水はとても飲めないし、毎回ペットボトルを買うのは環境負荷の点からみても気が重いのでこれは助かる。部屋での調理は禁止だけれど、カップ麺なら食べられる。
長期滞在に必要な施設が徒歩圏内に揃っている
銀行、ATM、両替所、モバイルフォンショップ、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ショッピングモールがすべて徒歩圏内にある。スーパーマーケットにはちょっとした衣類やリネン類、家電品もある。見かけないのは郵便局ぐらいだけれど、わたしが知らないだけで調べたらあるのかも。地図でみる限りは駅もある。
お楽しみ施設も徒歩圏内に揃っている
常温のマンゴーと熱々のホットチョコレートをもっちりしたご飯にかけて食べるカフェメニュー。125ペソ(約250円)美味しかった!!また明日も食べたい!!! pic.twitter.com/RVzumTWmvs
— くたびれはてこ (@kutabirehateko) November 8, 2018
ファミレス、各種レストラン、カフェ、バー、ジューススタンド、アイススタンド、花屋、ネットカフェ、屋台、そして博多ラーメンなどすべて徒歩圏内にある。ロケーションに期待しなければ徒歩圏内でのお楽しみは完結する。タクシーで少し遠出すれば高層ビルの最上階とか砂浜と水平線とかイルミネーションに彩られた公園とかを眺めることも可能。
無料のフィジカルトレーニングメニューが豊富
一式揃ったマシンジムと夕方開催されるヨガやズンバのクラスを無料で利用できる。学校まわりはウォーキングに不向きな環境だけれど、身体を動かしたければ校内でできることがたくさんある。近々他校も交えてバスケットの試合をやるらしい。近隣に練習できるコートがあるんだろうな。
週末・週中ごとのバラエティー豊かなアクティビティ
ジンベイザメと泳いだり、島を訪ねたり、小学校へボランティアにいったりと週末ごとにさまざまなイベントがある。参加費は一般のツアーより安いし、ひとりで留学してきた生徒でも学校のサポートで安全に観光ができる。
週中には一芸留学生による講座も開かれる。先週はビジネスセミナーで、今週はドローンの操作を学ぶクラスが開かれる。英語で講座ができるなら誰でも挑戦できるので、開催する側として参加することもできる。
セブ島留学のデメリット
授業の指針となる課題がない
これもフィリピン留学の特徴らしい。マンツーマンレッスンが顕著な例だけれど、講師は授業の課題を決めてこない。受け身でボケっとしていると1コマ50分を雑談で終えることになる。楽しいけれど英語力が上がるかといったら微妙なところだ。「彼女はいるかとかプライベートな話ばかりで、正直授業料を払う価値があるのか疑問に思う」といっている生徒もいた。
しかし母はこの雑談をずいぶん楽しんでいるようだ。講師は英語しか話さないし、母の日本語は通じないので何が何でも英語で話すしかない。その英語がちゃんと通じる、講師の話の意味がわかることが母にとっては大きな収穫である。授業を終えるとあれこれノートに英語でメモしている。
わたしは仕事で使う会話をでたらめ英語で提示して、webやkindleで英語の資料を拾いながら言いたいことを講師に伝えている。こちらが言いたいことを講師が十分理解したらそれを正しい言い回しに直してもらい、それをメモしてロールプレイをする。午前中に4人の講師をまわるので、前の講師と作ったメモをもとに次の講師のところでロールプレイをして、続きの部分を作る。つまりマンツーマンレッスンを個人用のビジネス英会話の作成に充てている。
しかしこのやり方だと文法など根本的なことが学べないのがネックで、英語を学びにきているのに「言いたいことが話せるように英語を学びたい」と本末転倒ないら立ちを覚えるようになった。グループレッスンの講師のひとりが元高校教師で、唯一文法に力をいれる授業をしていたので、今日彼におすすめのテキストを教えてもらって買った。明日からはこれもマンツーマンレッスンで課題にしていきたいと思う。
生徒、講師とも国籍に偏りがある
おそらく8割が日本人なので食堂にいると日本語ばかり聞こえてきて日本にいるとしか思えない。安心できる要素でもあるけれど、多国籍の交流を持つという点ではフィリピン留学は弱い。よく知られているように日本人は一度グループになるとメンバーを固定する傾向があるようで、同室、同期入学、同郷、同世代でグループを作るとそこから抜け出すのは難しい。
しかし親元を離れたばかりの若者が異国で不安と興奮を抱いて集まれば群れるのは無理もない。合宿免許の寮と似たような雰囲気である。幾多のロマンスとドラマが生まれては消えているに違いない。
ちなみに「日本人は日本人同士で群れたがるけれど、それでは英語が上達しない。私は絶対に日本人と群れない」と熱く語っていた母は片時も離れず娘のそばにいる。
深刻な環境汚染
水はとても飲めないし、マスクをせずに往来を歩くと排気ガスで舌が痛くなる。喉を痛めているスタッフや講師は多い。わたしはホテルに戻ったら毎日鼻うがいをしている。
公共交通機関の利用が難しい
現地の人々の通勤通学を含めて移動はほとんど車かバイクで、電車やバスをみかけない。公共交通機関を乗り継いで遠出するのが好きな母は学校とホテルの往復に専念している。
風呂に浸かれる場所がほとんどない
蒸し暑い島なので身体がむくむ。こんなに風呂に浸かりたいと思ったのは人生ではじめてだ。しかしセブ島にはバスタブのあるホテルがほとんどない。セブ市内に銭湯もあるらしいけど、混浴だそうです。水着を持ってきたのでいってみようかと思ったが、こちらが水着を着ていてもおっさんらがふるちんだったらそれもくつろげないなと思ってやめた。
聞くところによると日本人が経営するホテルには数少ないバスタブがあるそうで、最近できた東横インには東横イン方式の、あの例のバスタブがあるそうです。風呂に入るためだけに東横インへいこうかと思うくらい、風呂に入りたい。バケツに電気ポットで湯を張って足を付けてしのいでいる。ちなみにT’shi Hotelにはシャワーホースもない。
エアコンがうるさい
調べてみるとセブ島のエアコンのやかましさは世界的に有名なようで、エアコンをつけっぱなしで暮らすのはかなりしんどいと思う。しかし窓を開けると排気ガスもすごいしデング熱を媒介する蚊が入ってくるので風を通すわけにもいかない。自宅ではいつも窓をあけて暮らしているので窓が開けられないのもつらい。
わたしは暑さに強いのでほとんどエアコンをつけない。暑がりな人はセブの暑さはきついだろうし、微調整の利かないエアコンをゴンゴンつけて騒音に耐えるのはつらいと思う。ちなみに東横インはセブ島で唯一の静音エアコンだそうです。さすがの東横クオリティ。
3Dアカデミーのデメリット
騒音が激しい
都心部にあるので利便性には優れているが、往来が激しく一晩中静かになる時間がない。スコットランドから来た講師は眉をしかめて「この国に静寂はない。私は毎晩イヤフォンでヒーリングミュージックを聞いて寝ている」といっていた。言うまでもないけれど、この国にも静寂はある。しかしセブ市は眠らない町のひとつみたいだ。
母は「うるさくて眠れない」と訪問医に睡眠導入剤を出してもらった。しかし母はもうずっと福岡でも眠れないのだ。わたしは毎晩ぐっすり眠っている。ブログを書いたりあれこれやるので寝るのが遅いのが悩み。もっと長時間眠りたい。
徒歩圏内に名所旧跡・観光地がない
「海沿いでビーチがあると思った」とロシア人の生徒ががっかりしていた。セブ島といえば白い雲、青い海というイメージがあるが、空港があるマクタン島まで車で40分。事前にGoogle map で確認すればわかるが、学校の近くに名所旧跡はない。観光したければ週末のアクティビティに参加する。自力でいくならタクシーを使う。タクシーを使えば大きなショッピングモールはあるそうで、ITパークというところへいくとかんどーさんが開いたたこ焼き屋さんもあると3Dアカデミー社長の森田さんがおっしゃっていました。
けどまあ授業を三日受けてみて思うのは、青い海と白い雲はなくても勉強はできるし、生活するには困らないということである。わたしの住まいは福岡の端っこでとくに景観のいいところではない。それでも徒歩圏内に郵便局とバス停と駅とスーパーマーケット、ATMとコンビニがあるので生活するには便利なところだ。3Dアカデミーは観光ホテルではなく長期滞在者向けの学校なのだ。
いまの感想
3Dアカデミーは手元不如意で英語がおぼつかない日本人がはじめて長期滞在するにはとても便利なところである。授業がはじまり、英語学習に焦点があたってくるとそれがよくわかった。
しかし観光目的で訪れるには不向きである。またTOEICスコアを上げるなど特定の目的がなく、学習プランがない人にもフィリピン留学は不親切なところがある。費用がさほど変わらないマレーシアなんかは課題に沿ってちゃんちゃん進んでいくらしい。ただ3Dアカデミーでは学習プランの立て方もスタッフに日本語で相談できるんじゃなかろうか。
母もわたしも疲れてしまって、今日から授業を一コマ減らしてもらった。柔軟な対応をしてくれるのがこの学校のいいところだと思う。事前でも、入学してからでも、いろいろ相談してみるといいよね。せっかくの機会だから。それじゃおやすみなさい。