飲んでも痛い目を見ないとても美味しいコーヒー牛乳を旅先で見つけた。コーヒー牛乳なんて生まれてこの方片手で数えるほどしか飲んだことがないのだけれど、名物だと聞いてコンビニで買ったのだった。
甘い物があまり食べられない。食べると胃酸が上がってきたり、舌が痛くなったり、肌が荒れたりする。スポンジケーキは大丈夫だけど、飴玉はひとつで痛くなる。パスタは大丈夫だけど、ご飯は茶碗一杯でも十分なおかずがないと堪える。加えてケミカルに弱い。なので市販の清涼飲料水はほとんど飲めない。子供の頃は飲めたし、一口目は美味しいと思うのでときどきチャレンジするが必ず痛い目をみる。酒と同じで、飲むと後で大変だと身体が覚えると口にすることがなくなる。
ところがこのコーヒー牛乳はノンケミカルにこだわっているせいか、舌も胃も痛くならなかった。何しろハッとするほど美味しい。ソフトクリームのようなさっぱりとしたコクがある。期待しないでぼんやり一口飲んで、ふくよかな香りと上品な甘さにびっくりして思わず成分表示を見たくらいだ。
紙パックの小さなサイズを飲みきったが、いつものように口が痛くならず、胃酸が上ってこなかったので、ネットで1リットルサイズを数本取り寄せた。一日で飲み終えた。およそ700キロカロリーである。一緒に買ったプロセスチーズも一日でひと袋食べきってしまった。あわせてざっくり1000キロカロリーである。これはすごいことだ。日頃は板チョコ一枚を恐る恐る一月かけて食べる。
カロリー取れとれと医者やスポーツトレーナーにせっつかれて来たが、炭水化物に頼らずカロリーを取るのはかなり難しい。我が家の砂糖はまったく減らないのですべての甘みを最高級のマヌカハニーで賄ってもぜんぜん足りる。お茶とお菓子を用意してくつろぐシチュエーションに憧れがあり、いただきものがあるといそいそ支度するが、食べ終わると口が痛い。手軽にカロリーをとろうとミロを買ったが甘すぎて堪える。
でも、飲めるんですよ、このコーヒー牛乳は。1リットル飲んでもお口痛くならない。うわー!これ飲んでたら太れるのでは?夏バテであっさり去っていった半年かけて育てた筋肉と脂肪が取り戻せるのでは??
と、思ったんですけどね、なんか目が爛々としてしまってですね、ぜんぜん眠れない。一睡も出来ないまま40時間経過する羽目になってですね、その間もコーヒー牛乳飲んじゃう。これ書いてるいまも飲みたい。でもなんかもう怖い。身体が糖質とカフェインでガッツリキマっちゃってる。頭と目はハイテンションだけど身体はどんどん消耗してしまって運転も危なくて仕事を休む羽目になった。休もうと思ってベッドに入るけど、スマホから目をそらせるのは絵を描いているあいだだけ。最近とても規則正しく平安に暮らしていたのだけれど、なんだかハイになって深夜ラジオを聴きながら徹夜する学生みたいだ。
自閉症の成人は体重に関わらず薬の副作用が出やすかったり、感覚過敏があったりするという。わたしの場合ほかのお茶はそうでもないけれど、何故かコーヒーを飲むと緊張感がぐんぐん高まって叫びたいのに動けない金縛り状態になることがある。いつもは少し飲んだところで胃が痛くなるので水をたくさん飲むのだけれど、コーヒー牛乳はぜんぜん痛くならないので水を飲む気にならない。つまりストッパーが働かない。
果糖ぶどう糖液糖の入ったものを日頃ほとんどとらないで来たので知らなかったけれど、果糖ぶどう糖液糖にもなにか激しく反応する要素がある気がする。とれなくてよかったのか。
でも美味しい。すごく美味しい。飲まずにいられない。怖い。怖いけどこれからもう一杯飲みたい。ヤバい。どうしよう。すごく美味しい。音楽はキラキラしてるし、ときめく思い出は鮮やかに蘇るし、絵を描きたくてたまらない。ガンギマリだ。「はてこさんグーグー・ガンモみたいだね!」とはてなハイクオフで言われたのを思い出す。
ちなみにベンゾジアゼピン系の風邪薬でもトリップする。パブロンとかね。こっちは時間と空間の認識がおかしくなる。いまと昔が入り混じる。ここがどこでいまがいつかはわかっているのだけれど、1990年代と2000年代が物理的に移動可能な世界だという確信がわいてきて、部屋の向こうは十代のときに住んでいた街だと思えて仕方がなかったりする。ヤバい。ヤバいけどこのまま眠れないとますますヤバいし、手元のコーヒー牛乳なくなるまで飲み尽くしちゃうからパブロン飲んで寝ます。