今回は少なくとも建前上は日本の世相はかわったなと思った一曲の歌を紹介します。
「男は女を襲うのが男らしく、女性はそれを当然のものとして受け入れるべきだ」ということに大半の人が疑問を持たなかった時代がある。爆風スランプの歌で、いまリリースしたら間違いなく炎上してヤフーニュースに載っただろうと思う歌がある。
青春りっしんべんはアルバム「青春王」に入っている歌。動画もたくさんアップされている。
親が親戚の結婚式にいっているので遊びにこないか、と彼女を誘う歌だ。珈琲を入れたり、テレビをみたり、新しいアルバムを聞かせたり、楽しいひとときをすごそうと彼女を誘う。
1番、2番と最後のさびは以下の通り。
今だ!
ソファに押し倒して唇 奪っちゃえ
最初は嫌がるけど 照れてるだけだから
バタバタ暴れるのは 喜んでる証拠さ
突然泣き出したら ひたすらあやまれ
今だ!
ベッドに押し倒して腰なんかもんじまえ
最初は嫌がるけど 照れてるだけだから
バタバタ暴れるのは 喜んでる証拠さ
いきなり たたかれたら ひたすらあやまれ
されど!
ベッドに押し倒して腰なんかもんじまえ
おもいきり嫌がるけど 照れてるだけだから
バタバタ暴れるのは 喜んでる証拠さ
本気で泣き出したら ひざまずけ すがりつけ
当時わたしは中学生で、この歌はおもしろい歌だと思っていた。若い男が性欲を募らせ、焦って女の子を泣かせる歌をサンプラザ中野が歌うのは、ドジでまぬけな自虐ソングだと思った。実際そうだったのだと思う。男は不器用だ。女の扱いが下手で、みすみすチャンスを逃す。それが青春だ。いつかスマートに女性をエスコートできる大人になれたらいいな、どうだろう?そんな歌だった。
でもこれ、あきらかにデートレイプなんだよね。もう弁護の余地はどこにもない。
親がいない時間に家に行くなという意見もあるだろう。現実問題わたしはそういう子に気をつけなさいと注意する。*1でもつきあっていても、夫婦でも、望まない性関係は断っていい。男がそうするのは当然だ、自業自得だは言い過ぎだと思う。
現代の「青春りっしんべん」とその反響
4年間ずっと同ゼミ生の女の子と恋人未満の関係を続けてきた後輩が先日「ついに宅飲み誘われたんすよ(笑)」と調子づいていたのに後日談も何も教えてくれなくて、女の子の方のTwitter覗いたら「無害な奴だと思ってたのに目の色変えてきて幻滅した」と呟いてあって、あまりの救われなさに泣いた
— 秋菜↻ (@ev_Akina) 2015, 10月 18
このTweetは上の歌に通じるものがある。期待に胸を膨らませて機会を損失した男性は救われない。でも現在は男性側からも「当たり前だ」「これは笑えない」と思う声があがっている。時代は少しずつ変化しているのかもしれないな。
女の子が彼を家に呼んだ動機はわからないけれど、もしかしたら心のどこかでもう少し深い関係になっていいと思っていたかもしれない。だから家に呼ぶなとまでは思わないんだよね。でも目の色変えて豹変すれば警戒されるし、警戒されたらそこで終わりなのは、交際していても結婚していても同じだよ。機会損失したねえ。
「据え膳食わぬは男の恥」という考え方も早く不人気になればいいのにね。「手を出さなかったことで女性に非難された」っていう男性はお気の毒さま。でもそういう女性の名誉のためにこんな不条理な信条を身を挺して守っていくことはないよ。そうじゃない女性と、あるいは男性の中にもいい人はいる。
そのいっぽうでかつてロースおじさんが語ったような、相手の好意につけこんで、責任とらなくていい範囲でいちゃいちゃしようとする人、ロースおじさんいわくタダ飲みにやってくる女性や男性は確かにいる。
そういうこずるい人は非難されて当然だけど、そういう人には取り立てとしてレイプを迫るより、損きりした方がいいと思うな。