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結婚記念日雑感

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13年前の今日結婚した。もちおは若くしてわたしをすきになってしまったので、世の中にはほかにも魅力的な女性が大勢いると気がついたらがっかりするべなと思っていた。

「ぼくは、この世にたった一つというめずらしい花を持ってるつもりだった。ところが、じつは、あたりまえのバラの花を、一つ持ってるきりだった。・・・ぼくはこれじゃ、えらい王さまなんかになれようがない・・・・・・」

 王子さまは、草の上につっぷして泣きました。 星の王子さま

  

少し前に世界一たいせつないぬの話を書いたエントリーをふたつ読んだ。

hitode99.hatenablog.com

zuisho.hatenadiary.jp

 

ほいで、ここのくだりを思い出した。

王子さまは、もう一度バラの花を見に行きました。そして、こういいました。

「あんたたち、ぼくのバラの花とは、まるっきりちがうよ。それじゃ、ただ咲いてるだけじゃないか。・・・そりゃ、ぼくのバラの花も、なんでもなく、そばを通ってゆく人が見たら、あんたたちと同じ花だと思うかもしれない。だけど、あの一輪の花が、ぼくには、あんたたちみんなよりも、たいせつなんだ。だって、ぼくが水をかけた花なんだからね。・・・不平もきいてやったし、じまん話もきいてやったし、だまっているならいるで、時にはどうしたのだろうと、きき耳をたててやった花なんだからね。ぼくのものになった花なんだからね」

「あんたが、あんたのバラの花をとてもたいせつに思ってるのはね、そのバラの花のために、ひまつぶししたからだよ」

「ぼくが、ぼくのバラの花を、とてもたいせつに思ってるのは・・・・・・」と、王子さまは、忘れないようにいいました。

「人間っていうものは、このたいせつなことを忘れてるんだよ。だけど、あんたは、このことを忘れちゃいけない。めんどうをみたあいてには、いつまでも責任があるんだ。まもらなけりゃならないんだよ、バラの花との約束をね・・・・・・・」と、キツネはいいました。

 愛犬がほかのどの犬とも違う世界一たいせつな犬になるだけの時間と、世界一たいせつな家族になるだけの手間隙がわたしたちの間にあった。だからもちおは前よりわたしがたいせつだろうし、わたしも前よりもっともちおがたいせつだ。今日もお互い生きていてよかった。

 

来年もまたげんきでこの日を迎えられたらいいなと思う。結婚した日は最悪の気分だった。年々良くなる。このあとおじさんの店に珈琲飲みにいくからこれでおしまい。

 

kutabirehateko.hateblo.jp


小室友里先生が語る「3回のデートでベッドインするテクニック」は有効か

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恋愛工学徒でありながらなぜか憎みきれないろくでなしであるid:hideyoshi1537が「女くどき飯」的なまとめを書いていた。

わたしは食事をご馳走してもらうのは相互に個人的なやりとりのある相手でないかぎりは糊口をしのぐ余地のないほど貧しいときだと思っているので、「店の問題かよ」とつっこみたくなるが、「そうか、店の問題なんだな」と思う本を最近読んだので紹介したい。

 

小室友里先生が「3回のデートでベッドインするテクニック」を手取り足取り教えてくれるようです。

 

小室友里さんは元AV女優だそうで、現在は「男女の性、男女間におけるコミュニケーションについてのお悩みを解消し、あなたの『ベストパートナーになりたい』を応援」といった活動をしていらっしゃる模様。kindleで387円だった。

男性視点のナンパや恋愛工学を女性側からチェックした本だというところに興味を持った。果たして3回デートしたくらいで(それもほぼ飲みながら食事をしただけで)「抱かれてもいい!」と思うようなことがあるのか。

 

「もったいないな」という思い

 前書きにはこうある。

最近、男性と話していて感じるのが、「もったいないな」という思いです。

「もうちょっと、雰囲気を作ってくれれば付いていくのに・・・・・・」

そう感じることが多々あります。

(中略)

そういった悩みを抱える男性のために、会話の基本から、食事の場所、エッチへの誘い方まで、詳しく話していきます。

第1章は、見た目や話し方の改善

第2章は、食事の際の具体的な行動

第3章は、セックスに誘うために使えるテクニック

これらを順序立てて説明していきます。

要するにこれは小室さんの「私だったらこう誘ってほしい!」を明文化した本です。これを実行すれば小室さんといい仲になれるチャンスがある。こういうスタンスは女性向けの婚活本にもあり、筆者の男性は「俺だったらこんな女と結婚したい!」を熱く語る。多くは「甘えるのもたいがいにしろ」といいたくなる内容なのだけれど、小室さんの望みは3度の食事と少しの気遣いなのでそれほど高い要求はない。ように思う。けど、男性はこれどうなのかな?

 

デートの誘い方、会話のすすめかた、セクシーな雰囲気に持っていく方法など具体的な指南がいろいろあるけれど、ここでは食事の誘い方と店の選び方を紹介したいと思う。

 

1回目のデート 少しがんばった感のあるレストラン

・大衆居酒屋や安っぽい店を避ける

・逆に女性が緊張するような高すぎる店も避ける

おすすめ

オープンスペースのイタリアン、もしくはフレンチ。カクテルやワインなど女性が頼みやすいお酒があり、関係を意識せず適度にリラックスできる。予算は8000円~1万円

女性が一回り以上年下の場合は高級フレンチで財力をアピールしてもよいが、二回目以降グレードを下げると「無理してたんだ」と思われるので注意

 

2回目のデート 自分らしさを出せるお店

・行きつけの店。あえて焼き鳥屋などもアリ

・誰を連れて行っても「美味しい!」と言われる自信のある店が大前提

 おすすめ

カツ丼、海鮮丼など丼物の美味しい店。予算は初回と同程度。*1*2

丼物で解散するのは味気ないので2件目にスペインバルで陽気に飲む*3

 

3回目のデート 本気モード

・おしゃれで雰囲気のいいところ

・横並びに座れる席を選び、カップルシートを予約

おすすめ

隠れ家系レストラン

近くに水場があり、高台やビルの高層階など夜景を見下ろせる店

タクシーでホテルに移動しやすい距離

 

3回目のデートで反応が薄いとき

ボディタッチを拒否されたり、リアクションが薄い場合は脈がない。美味しいものを食べさせてくれる人として財布に惹かれていると認識し、深追いしないこと。この辺が「いやよいやよもすきのうち」という男性指導のナンパ、恋愛工学と違う。具体的には「腰に手を回して拒否されなければOK!」だそうです。小室先生を口説きたい男性は参考になさってください。

 

ここ福岡にも上記の条件に当てはまる店はあると思う。恋愛工学徒たちは「東京はでっかい無料のソープランドみたいなもの」という藤沢数希のマントラを唱えながら東京23区をいったりきたりしているようだけれど、地方都市や海外在住のみなさんは小室先生のお言葉をヒントに該当する店を探せばいいと思う。

 

くどき飯が通用する女性

うちの父あたりは今でもこういう情報を真剣に吟味して暗躍しているような気がするけど、これが通用するのは「食事=デート=下心」という図式を共通認識として持っている女性だけなんじゃないかと思う。ナンパと恋愛工学の世界では「そんなの常識」かもしれないけれど、わたしなどは「そんなわけあるか」と長い間思ってきた口だ。だって3回食事したくらいで性病と妊娠の可能性、密室で暴力を受ける可能性が薄れる根拠がえられるとは思えない。

 

でも世の中には小室先生のように「美味しい食事で雰囲気よく誘ってくれれば喜んで応じるわ」という勇敢な女性もいる。なので最初に見極めるべきはその辺をどう考えているかだろうと思う。ただモテ指南って基本的に会話はひたすら相手のご機嫌取りだから、そんな突っ込んだ話はできない気がするよ。はあちゅうみたいに「年上既婚男性が若い女の子の舌を育てる」とかブログで書いてくれていれば別だけど。

 

とはいえ世の中にはくどき飯のゲームを楽しむ男性や女性が確かに存在する。そういう人たちは被害者意識を持たずにこういうやりとりに乗れるのかもしれない。食事や服飾美容にお金はかかるけど、それは趣味だからスマホアプリに課金したりフィギュアや漫画を大人買いしたりするのと変わらないのかもしれない。その世界の中では女性は財布を出さなくていいし、男性は食事の誘いに応じた女性はベッドの誘いに応じると考えていい根拠があるのだろう。

 

「タダ飯おごらされただけでやらせてくれなかった」みたいにいってる人いるけど、たかだか数万の借りで妊娠、性病のリスクを負いたくないだけで、あなたという人間が否定されたわけじゃないかもしれない。その人はただ急流くだりみたいなデンジャラスな競技を好まないだけかもよ。趣味仲間は増やしたくなるものだけど、同好の士を探しなよ。なぜかノンケを口説きたがるよね、こういう人たちって。

 

小室さんの文章は明快でよく整理されていてさくさく読める。誘ってダメだったときの誤魔化し方、ホテルの部屋に入ったら最初にすること、ベッドイン前にしておきたいことまで小室先生の夢と希望が具体的に書かれていて、kindlekindleアプリがあればすぐ読めるし、珈琲一杯分のお値段だし、読んで損はない。恋愛工学徒は藤沢数希の教えとの違いや共通点を教えてほしい。

 

小室先生は酒が入った女性が自分に気があるかどうかを見抜く本も出している。amazonには「これはバーや飲み屋でのテクニックでシラフでの過程が何もない そんなしぐさ見たってそこまで誘えなかったら全く使えない 要らん!」というレビューがあった。この人は先に「3回でベッドイン」を読んだほうがいい。どっちみちよく知らない男性とは酒飲まない女性には使えないけどな。

kutabirehateko.hateblo.jp

*1:丼物で8000円て鰻丼とかか。

*2:初回は「がんばってた」はずなのに下がってない。

*3:別途飲み代

「家庭をこわすつもりはない」割り切り不倫の人はなぜ得意そうなのか

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*1

「不倫中の人は不倫を副業だと思っているのではないか」と仮定したらいろいろ納得がいったというお話です。

 

不倫の告白をされることがときどきある。
不倫告白のあとに「でも家庭をこわすつもりはない」と付け加える人は、なんだか得意そうな人が多い。それがずっと不思議だった。

まるで「確かに不倫はいいことではない。でも自分は『いつかいっしょになりたい』と離婚を視野にいれて不倫をしている人とは違う。家庭はちゃんと維持しよう、(あるいは相手の家庭を壊すまい)という責任感がある。浮ついている人たちと違ってちゃんと冷静に現実を見ている。しっかりしているでしょう? えっへん」といいたいように見える。

 

でもわたしから見ると「結婚も恋愛も世間体もいいとこどりするつもりです。えっへん」といっているように聞こえるので、ドヤ顔をする理由がわからなかった。結婚を前提としない不倫は正式に離婚して再婚を目指すよりずっと楽な道だと思う。楽で都合のいい方を選びながら、茨の道を選ぶ人より自分はしっかりしていると誇る理由がわからない。

 

いずれにしても不倫は結婚の誓いに反する。ばれないように不倫をしながら結婚生活を継続しよう、あるいは既婚者と交際して社会的責任を回避しようというのはいわばチートだ。ずるをしながらえばるのってどういうわけだろう。「美味しいところはいただきつつ、名誉は捨てない」と宣言している感じ。そりゃその方が都合がいいよ。「どうだ、賢いだろう。フハハハハ」ならわかる。でもこういうことを言って来る人は「ちゃんとしているでしょう?大人でしょう?」って調子なんだよね。

 

「道徳的に見たらチートだけど悪いことではない。これは処世術だ」
と人が開き直る例、むしろ誇らしげに語る例がほかにないか長い間考えていた。就職している人が規定に反して副業をするのに似ていると思った。

 

不倫を副業に置き換える

いわゆる割り切った関係を望む人の言い分は、仕事に置き換えるとこういう感じ。
「規定に反していることは知っているが、本業で成果を出していれば余暇で何をするかは本来自由だ。しかし勤めていながら転職活動をはじめるのはルール違反。いくら仕事に不満があっても裏切りだ。自分は職場に不満はない。これからも仕事は大切にしたい。だから本業にさしさわらない程度に副業をする。えっへん」

そうか。だから得意そうなのか。

 

ところで副業を禁止する会社って、どうして禁止しているのだろう。調べてみると大きな理由は三つあった。

  1. 時間や体力の面で支障が出て本業に差し障る
  2. 副業の内容によっては本業のイメージに傷がつく
  3. 本業への忠誠心を損なう

 

これを不倫に置き換えると

  1. 時間や体力の面で支障が出て家族に対する配慮が欠ける
  2. 醜聞が広まって家族のイメージに傷がつく
  3. 家族への忠誠心を損なう

ということだ。「そうならないように配慮しながらだったらやっていいでしょう」と割り切りの人たちは言っているのかもしれない。

 

これまで割り切り不倫の人たちは親元で恋人を作る学生のようだと思っていた。配偶者を口うるさい心配性の保護者のような立場におき、自分を過保護な親の目を盗んでプライベートを守ろうとする子供の立場に置く。独身者の不倫は「親がうるさい人と交際している学生」ね。でもこれより本業、副業と考えたほうがしっくりくる。独身者の不倫は未届けのバイトみたいな感じかな。なるほど、確かに「都合のいい存在」だ。

 

ばれたら違約金と損害賠償を求められるところも似ているかもしれない。次回「副業でがっぽがっぽですよ!才能をもてあましてるから使わない手はないよね」という調子で「割り切った大人の関係、えっへん」という人に出会ったら、この切り口で話をしてみようと思う。

 

昨日「ベルサイユのばら」を漫画喫茶で読んだんだけど、フェルゼン相手に副業にはまっていくマリー・アントワネットは、転職したがっている様子だった。どちらかというと転職考えている人の方が好感持つ。最悪なのは席が空く前に就職ちらつかせるやつだな。

kutabirehateko.hateblo.jp

浮遊霊ライフで夢をかなえる人たち

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実録ホラー漫画と最近のニュースから考えた死後の世界についての雑記。

2015年8月16日に道路脇の側溝に潜り込んで通りを歩く女性の下着を見上げて喜んでいた人が捕まった。この人は2013年6月5日にも同じことをして一度捕まっている。3年ぶり2度目の変態行為だ。

この人は2013年に逮捕されたさい「生まれ変わったら道になりたい」という迷言を残し、アンサイクロペディア変態番付大関に格付けされた。当時26歳会社員と報道されているので、現在は29歳前後だろうか。

 

「生まれ変わったら道になりたい」とはアスファルトと一体化したいということではなく、誰にも気づかれずに女性の下着を下から眺め続けたいということだと思う。こうした願いが叶っている人の話を最近実録ホラー漫画「流水さんちの浮遊霊」で読んだ。

 

浮遊霊は何をしているのか

これは漫画家流水りんこさんが毒舌霊能師、斎さんとの交流を通して浮遊霊の所在を探る実録漫画。流水さんの夫はインド人。某所でカレー店を経営している。

流水さんはいわゆる霊障に悩まされていたわけではなく、ホラー漫画家としての好奇心から斎さんに自宅を霊視してもらう。「悪質な霊はひとつもない」といわれて拍子抜けするが、「ごくふつうの浮遊霊が各階に何人かいるだけ」といわれて度肝を抜かれる。

大半の浮遊霊は住むところ、帰る場所がないので勝手に家におじゃましている状態らしく、特に障りはないとのこと。*1

 

流水さん宅は屋根裏含めて3階まであり、ぜんぶで9人の浮遊霊がいた。

そのうちの一人はトイレの便座の脇にしゃがんでいる男性で、彼は女性が用を足しに入ってくると前に回って排泄を眺めて楽しんでいるのだという。

「ただの変態。あちこちの風呂場やトイレをのぞいてエスカレートしてる 今 こいつのマイブームがこれ」

「浮遊霊になると欲がむき出しになって本能だけになる それが負の気をまとうもんだからえらい瘴気ですよ」

「元はたいした奴じゃないけど こんな負の気や瘴気を浴びてたら いずれここを使う人が婦人科系の病気とかになりかねませんから」

これ、悪霊のうちに入らないの・・・?

 

エロ浮遊霊にとって現世はパラダイスなのか

斎さんに自宅の浮遊霊を祓ってもらった流水さん。次は夫が経営するカレー店を見てもらう。ここは気の流れがとてもよく、食事をした人が元気になって帰る席があるといわれ大いに喜ぶ。

しかしこの店のトイレにものぞき目的の生前男性だった浮遊霊が二人いたと斎さんはいう。

とにかくデパートとかお店のトイレとかってのは普段どこもいっぱいですから

亡くなって本能だけになっちゃった男の霊がウヨウヨ 特に従業員の女性トイレなんてひどいもんですよ

ときおりトイレで視線を感じるのは隠しカメラで盗撮されているからじゃなく浮遊霊のしわざなのか。斎さんによれば公衆トイレはたまにしか利用しないものだが自宅のトイレに篭城されると体調を壊したり精神に変調をきたすこともあるという。浮遊霊を追い出すには掃除と換気がたいせつ。窓を開けたり換気扇をまわしたりをこまめにするように、と斎さんはいう。*2

 

さらにぶんか社編集部をおとずれた斎さんはグラビア撮影用の部屋にモデルの着替えをのぞく男性の霊がいることを指摘。ぶんか社のファッション雑誌はそんなところで撮影されていたとは。モデルさんたちが気の毒だ。

しかし24時間女湯でも女子トイレでも更衣室でもプライバシー0で女子の裸体が見放題、逮捕される恐れがないとなったらこの状態にぜひとどまりたいと思う人も少なくないような気がする。道になりたい例の人にとってはまさに夢のような暮らしだ。生まれ変わる必要もなくなるので成仏なんかしたくないと思いそう。

 

「まだまだやりたいこともあったでしょうに・・・無念を残してかわいそう」と故人をしのぶ遺族たちは、故人が浮遊霊となって明けても暮れても変態行為にまい進していると知ったらどう思うだろう。やはり霊能力というものは誰にでも備わっていないほうがいいのかもしれない。

 

 一昨日祖父の一周忌だったのだけれど、祖父が無事彼岸で平穏に暮らしているといいなと思う。わたしも未練を残さず成仏できる人生を送りたい。「うっはー!!」とはてなブロガーの家に出没したり、もちおの夢枕に立ってえんえん喋り続けたりしないようでありたいと思った。

 

ちなみに流水さん家とカレー屋さん、ぶんか社の浮遊霊は斎さんによって駆除された。ぶんか社はその後なかに入れなくなった浮遊霊が腹いせにやっているのか、正面玄関のガラス戸に大量の手形がべたべたとつけられるようになり、掃除のおばさんたちが困ったということであった。

kutabirehateko.hateblo.jp

*1:かの宜保愛子さんも「家にはご先祖様をはじめいろいろな霊が訪ねてくる。片付いた家を好む霊は生前まともな人が多いので家はきれいにしておきなさい」と言っていた。

*2:ちなみに我が家のご不浄は窓がなく、諸事情により換気扇が長いこと使えない。最悪だ。

芸名、匿名、ハンドルネームのweb活動としがらみ

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ブログやゲーム、チャットやSNSなど匿名でのweb活動はオフラインのアイデンティティとしがらみから人をどこまで自由にできるだろうか、と考えた話です。

 

4年前の自分と現在の自分

2015年11月7日ではてなブログはオープン4周年だそうですね。

blog.hatena.ne.jp

当時は招待制だったので、「すっぱい葡萄はいらないやい」と思っていました。

kutabirehateko

そんな素直になれないわたしをさよさんことid:sayonarasankakuさんが招待してくださったので即日開設。当時ははてなハイク>(越えられない壁)>はてなダイアリー>>>>>>はてなブログという優先順位で、はてなブログは長い間放置していました。しかし今年の7月末から連日更新するようになり、危惧していたことが起きてしまいました。はてなハイクがおろそかになってしまったのです。あんなにも ハイク is my life だったのに・・・!

 

実は福岡ってオフ会を開くようなハイカーがいないんだよね。来福してくださったハイカーさんも何人かいらっしゃったけれど、やれ学祭だ、映画だ、カラオケだ、バードウォッチングだと集まりあっていた首都圏オフ会愛好家のみなさんと接触がなくなったのが大きな変化。

 

4年前の11月といえば変な仕事をはじめたころでもありました。翌年福岡へ越して、徐々に仕事も増えていきました。現在の福岡の知人は親兄弟の関係以外はすべて仕事関係の人たち。仕事してなかったら誰とも知り合えなかったんじゃないかと思う。

 

ハイカーとしての活動が影を潜めて、仕事の芸名のわたしが表へ出ていった4年間だった。

 

ネットでのしがらみ

さて、このブログを開設したきっかけのひとつはハイカーが好まない話題を隔離するためだった。ネットで公開しているものは誰でも読めるものだけれど、発言する場を選ぶことはたいせつだ。しかし年齢的なゾーニングやカテゴリーの問題以外に政治的な理由で発言場所を増田にしたり、サブ垢ブログにしたりする人もいると思う。

 

今日ある人のブログを読んで思ったことをかなり長い時間書いた。でも結局その部分は削除することにした。なぜなら「くたびれはてこ」はそのブロガーを擁護するのか、それとも非難するのか、これはどっちの意見なんだと言い出す人が少なからずあらわれるだろうな、と思ったからだ。

 

こういうことはTwitterやほかのSNSでもある。ある人の発言に共感、あるいは反感をしめすと、その人を好ましく思わない人が、あるいは好意を持っている人が、議論の内容とおよそ関係のない過去の事件を持ち出して、遠まわしに考えを改めろと仄めかしてくるのだ。

 

本当に腹を割ってとことんまで話せる相手ならいいけれど、ろくに話もしたことがない人が、返事を求めているのかいないのかわからないような形で「あいつの肩を持つなんて(あるいはあんないい人を非難するなんて)おまえはひどい奴だ」と仄めかしてくる。議論の内容ではなく派閥の問題でだ。これは本当にめんどくさい。

 

面白いと思うけれど、ここでブクマするとこう言われるかもしれない、ここでファボるとこう書かれるかもしれない、この話をブログに書くとあとでこうなるかもしれない。だからやめておこう、と思うことがいろいろある。オフラインと変わらない。

 

この人には興味があるけれど、この人はあの人と繋がっている。個人的なやりとりをするとどこかで話がもれるかもしれない。このオフ会に出たらあの人も来て気まずい思いをするかもしれない。そんな風に人と知り合うことにもたたらを踏むこともある。

 

こういうしがらみを利用して、政治力のある人は反論しづらい空気を作っていく。力のある人と懇意にしていることをアピールして多勢に無勢の雰囲気を作る人もいる。オンラインの村みたいだ。なんら自分の矜持に反しないことでも、興味をもったことをどんどん書きつづけるのは難しい。

 

名前に付随するもの

同様にオフラインのわたしには仕事の名前と立場があるから「くたびれはてこ」の話はしない。またご近所の方に仕事の芸名は伝えない。だからときどき電話番号からLINE IDの芸名がご近所さんに表示されてしまったり、仕事のメールをうっかりくたびれはてこのメアドで返信したりすると心底焦る。

 

名前は便利だけど、しがらみができると重く感じることも多い。それぞれの名前に付随する情報とそこから発信されるイメージはわたし自身とは必ずしも一致しない。ネットで知り合った人がはじめからどこに住んでいる何歳で性別、職業、年収、学歴、結婚歴、家族構成までわかっていたら、きっと友人にはならなかっただろうと思う。

性別が女性だとわかったとたんにセクハラをかましてきたり、年下だとわかった瞬間見下してきたり、年上だとわかった瞬間話が通じないと思い込む人はいる。女だとわかった瞬間フェミフェミいわれたりとかね。

 

肩書きのない自分として何かを発信するのは楽しい。名前を覚えてもらって知り合うのも楽しい。それは日記を書くこととは違うし、必ずしも病的なものではない。でも同じ名前で育っていくと、やがてはそこにしがらみが出来て、自網自縛に陥ることもある。

 

この4年間を通してHNと芸名と戸籍上の名前であれこれやった。わたしはネカマ設定みたいな凝ったことはできないし、面白いと思った人にはすぐに会いたいと思う。継続的なキャラの切り替えは難しい。次の4年はこれ以上名前を増やさずやっていけたらいいなと思う。政治的な駆け引きもできればかかわりたくない。さて、どうなるかな。

修羅の国受難

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今日は男尊女卑で知られる修羅の国における個人的な受難をグチグチ書きます。

 

かつて父の口癖は「えらそうな口を利くなら自分で稼いでからいえ」でございました。
幼少期、迷子になって警察のお世話になり、ようやく家に帰り着くと「門限破りだ」とぶちくらされます。最初から迷子にならなければぶちくらされないわけです。迷子になったのが悪いんだからぶちくらされて当然というわけです。

 

高校に入ってからも門限は17時。少しでも部活動など参加すると「15時ごろ下校している生徒がいた!おまえは何をしているんだ」と帰宅後ぶちくらされます。

男女交際なんてもってのほか。地元の文化センターにやってきた谷山浩子のコンサートの帰りに、ばったり出会った先輩男子と立ち話をしていたことがありました。迎えに来た父は一目見るなり「男とつきあうのはまだ早い」と問答無用で娘をぶちくらすのでございました。

 

ラジオに投稿するネタはがきを取り上げられ、恥ずかしさに取り返そうとすると「何様のつもりか!」とぶちくらされ、椅子から転げ落ちます。

父の部屋でこっそりレコードを聞いていると文字通りドアを蹴破って入ってきて、鋭利な金属製の重いオーディオアンプを投げつけられます。そんなときの父は目の赤い王蟲みたいなものなので、平素たいせつにしている自分の持ち物をうっかり壊してしまうのです。もちろんそのあとぶちくらされます。

 

なぜこんな乱暴狼藉がゆるされるのか。なぜなら父は稼いでいるからです。家庭内で正当な発言権があるのは稼ぎがある父だけ。妻や子供にモノをいう権利はありません。「文句があったらベルサイユにいらっしゃい」ってなもんです。

 

わたしに・・・仕事があったら・・・!

 

そんなある日、ついに堪忍袋の緒が切れたわたしは下校時に家出して東京へ。その後神奈川で就職して一人暮らしをはじめました。無断で学校を辞めたこと、家を出たことでもちろん父は激怒しましたが、就職したわたしには経済制裁が効きませんでした。*1ざまあみろ。金で自由は買えるのだ!ブラボー!とわたしは思いました。

 

そんなわたしのひそかな誇りは親にお金をかけさせなかったことでした。親元に残った兄弟姉妹はなんだかんだで「え!」という額を親から引き出していました。彼らはいつも親に不満たらたらでしたが逆らうことができません。わたしはたいそうつましく暮らしておりましたが「ここにあるものはみんな自分で買ったのだ」ということが誇りでした。

 

しかし3年前の春。仕事で上京してきた父はわたしに言いました。
「おまえには何もしてやらなかった。だからおまえさえ気に入れば生前贈与として俺が持ってる博多のマンションをやる」

まじで?!

 

ってなわけで半信半疑でその週のうちに視察に来て、あれよあれよというまに翌月には福岡へ移転する運びとなりました。実際にはマンションといっても古い分譲団地だし、博多から30分以上かかるしで、市場価格にすればささやかなものでした。それでも日当たりがよく広々とした部屋は父の愛情のあらわれと思えば十分ありがたく思えたのです。

 

引越し後。

「やあ、よかった。もっちゃんも会社に入ってくれたし、おまえも近くに住むと思うと俺はうれしい」
「うん。喜んでもらえてよかったよ。ところで名義と贈与の手続きはどうしたらいいの?」
「ああ、あの部屋な。会社の持ち物なんだよ」
「え?」

 

父の話を要約すると「経営ははてこ弟に譲ったから会社のものは社長のもの。銀行でローンを組んで会社から買え」ということでございました。

さすがは海千山千で生き馬の目を抜く渡世を生き抜いてきた経営者、いうことが違います。そうだよね、ありえる話だったよね。親子だからつい油断しちゃったよ。感動的な和解話かと胸を打たれたわたしどもが間抜けなのでございます。

 

いまにして思えば父の狙いはわたしではなくもちお。「将を射んと欲すればまず馬を射よ」ということで疎遠な娘を呼び寄せ、婿と酒を酌み交わし、父はあふれる魅力と圧倒的な丸め込み力でまんまともちおを虜にしたのです。

 

 

今日はこっからが本題です。

 

 

そんなわけでいまわたしは身内の持ち家に賃貸で暮らしております。去年の暮れに浴室とトイレで共有している換気扇が老朽化で壊れました。型が古いから天井壊す特殊なやり方じゃないと直せないんだって。へえ、そうなんだ。おいくら?

 

換気扇修理としては、ちょっとびっくりする額だった。

 

こういうのふつう大家が直すじゃないですか。そうだよね?

 

で、大家である父にいうと、社長(はてこ弟)にいえっていうんですよ。
で、弟(社長)は、会社のものは会長(はてこ父)のものだっていうんですよ。
なんでもいいから直してよ。

 

しかもこの話、わたしが直接弟や父に話すともちおが怒るんですよ。
俺を飛ばすなと。
なんだか知らないけれど、こっちは女が直接男にものを言うのはダメらしいんですよ。

 

妻は夫に話して、夫が経営者に話して、経営者は会長に話を通さないとダメなんだって。途中飛ばすと飛ばされた人の面目丸つぶれなんだって。あと身内であっても女から直接意見されると周囲から見下されるみたいな風潮があるらしいですよ。

 

なんかもうもちおは会社でね、「妻に口を出させるな」ってすごく言われるみたい。引越しが決まってからは「姉になめられてなるものか」って弟も戦々恐々としてたらしい。弟に会う前に「あいつはもう大人だからおまえは弟にもの言うな」って父から何度も何度も言われたしね。

 

「なにそれ」「いや会社の経営とか興味ないから」って思いますけどね、わたしももう大人なので、地域の変わった風習もマナーとして尊重しておくかなと思うんですよ。親兄弟とはいえ家族じゃないしね。

 

まあそんなこんなでね、「じゃあ見積もりをとるから」ともちお経由で弟の話を聞いてからもう11ヶ月ですよ。1ヶ月じゃないですよ。十一ヶ月。じゅういちかげつね。

 

換気扇まわらないまま11ヶ月。窓のない浴室とトイレで。
もうだいぶ発狂するよね。

 

その間にしびれを切らしたわたしが何社か業者に見積もりを頼んだんですけどね、それも直接弟のところに出したらダメだってもちおが言うんですよ。

「じゃあおまえがさっさと持っていけよ」
と思いますけどね、もちおもだんだん女に意見されることで昔以上に傷つく感じになってきちゃって、もうやりづらいったらない。

 

わたしはただ浴室がいい具合に乾燥してくれればいいんですよ。入浴後タイルを全部拭き上げる生活から開放されたいんですよ。あとトイレを使った後あれこれしなくても自然に換気されるようになってほしい。それだけですよ。なんなの?お役所なの?

 

ほいで、昨日やっともちおが見積もりを弟に提出して話をしたらしいんですけどね、弟、なんていったと思います?「じゃあ見積もりをとるから」って言ったそうですよ!*2年の瀬に出前する蕎麦屋か!

 

あともちおには「台所の換気扇もダメだから、これこれこういう理由で業者がこういっていたからその辺も話を通してほしい」と再三念押ししておいたんですけどね、言ってないんですよ。これが。

 

台所使わないからわからないんだよ!って思うじゃないですか。
風呂場拭かないで便所掃除しないからわからないんだよ!あんたたちは!って。

でもなんかね、こういう魂の叫びであっても女から言われると傷つくらしんですよ。

 

でもいわないと進まない。11ヶ月。子供なら生まれてきょろきょろしだすくらいになってる。

もちおとさんざん揉めてから、さっき弟に直接やんわりLINEで現状を報告しましたけどね、また「会長が」「見積もりが」っていうんですよ。

ここまで待って、譲歩して、LINEを数行送ったくらいでね、女に意見された弟も、自分の報告にダメだしされたもちおも「面目丸つぶれ」って顔しますよね。「まったく女は仕事がわかってない」「こいつは俺らの立場や心情を汲んでくれない。なんて鈍感で自分勝手なんだ」って。*3*4

 

男尊女卑だって女尊男卑だっていいんですよ。家庭内のごっこ遊びみたいなものなら。役割分担に当事者同士がそれで納得していてしあわせなら。でも風呂の換気扇直すのに面子とかどうでもいいだろ。誰が言ったかとかどこで言われたかとか関係ないだろ。問題は湿気なんだよ!とわたしは思うのです。

 

ああ、やっぱりそうだ。金が人を自由にするんだ。ここでは稼ぎの少ないわたしに発言権はないんだ。こんな部屋、ポンと一括で買える貯金があれば「うるさい黙れ」ってなるのに。

 

そう思いました。

 

金がないと発言権がなく、換気扇一つ直すにもこんなに待たなければならない。

ブログなんか書いてる場合じゃないですよ。働かないと。働いて自由を手にしないと。 もちおが九州男児に染まりきる前に。

 

*1:ちなみに母の殺し文句は「言うことが聞けないなら出て行きなさい」でしたが、これは出て行ってしまった娘には効かない。

*2:わたしが業者に出してもらった見積書は目も通さなかったらしい。

*3:ちなみに九州、とくに福岡で生まれ育った女性はこういう男性をよしよしするのが上手な人が多いです。ナチュラルなアイドル対応、お水スキルが高い。熊本出身の森高千里や福岡出身の橋本環奈や松田聖子がけして上から目線にならないのはその辺じゃないかと思う。

*4:弟はそういう女性に非常にモテるので、いまとなっては姉と会話することはほぼ不可能。いっぽう全国各地で女を口説いてきた父はそれが標準対応でないことは理解しているので、場によって態度を使い分けている。

窓がなく換気扇のまわらない風呂場でカビをふせぐ方法

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 昨日のエントリーで「それじゃカビだらけだろう」「カビキラー三昧じゃん」と思われた方へ。

 

現在カビらしいカビは風呂場に生えていない。カビキラーも使っていない。「カビかな?水垢かな?」という黒ずみが天井の角にいちぶあるけれど、歯ブラシでこすると落ちる。

その理由を書く。

 

1.使用後の風呂場を拭き上げる

「風呂から上がったら身体を拭いたタオルで風呂場を拭き上げることを習慣にしている」とこの本で読んで実行した。

 

2.銀イオンコートをかけた

しかし出勤前にシャワーを浴びるもちおは拭き上げに手が回らない。見落としが不安なので銀イオン除菌をかけた。

 

3.使用後の風呂場スクイージーをかける

たっくさんは「まいにち風呂場を拭き上げるのが習慣になってしまって苦にならない」と書いていたが、わたしは苦になる。湯冷めする。早くすませたい。近藤典子先生が風呂場にスクイージーを常備していると書いていたのを思い出してこれを買った。300円くらい。

 

めっちゃ楽になった。

 

現状カビ被害にはあってない 

 近くに水場があって、北向きの部屋はモノがカビやすい。換気が欠かせない。でもいまのところ風呂場とトイレはだいじょうぶ。*1わたしががんばってるからだけどな!

 

早く換気扇なおってほしい。今週日曜日に業者と打ち合わせ予定。

 

以上、出勤前のバタバタ更新。

 

 

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*1:だからもちおものんびりしちゃってる。

晴れたり曇ったり雨が降ったり

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修羅の国のネゴシエーションめんどくさい」って書いたら引越しとか離婚とか言い出す人がいた。離婚も引越しも興味ないんだよ。換気扇が直ればそれでいいんだよ。

 

引越し

転居費用 +礼金敷金 +仲介手数料 +家賃差額 ※初年度 > バス改築費

 +家賃差額×2年 +更新手数料 >トイレキッチン洗面所改築費

 

300万あったら台所と風呂場と洗面所まわりを好きにリフォームできる。転居費用と数年分の更新費、家賃差額で元手が取れる。ただ自腹できれいにし終わってから転職すると、十中八、九費用を実家に寄付することになるので最終手段。入居前に実家負担でキッチンとバストイレ水回りをリフォームする話が出ていたんだけど、地獄のざくろみたいにそれが借りになってあとあと困るといけないと思って断ったのよね。転職しないなら立地的に理想的な場所だから移る理由はない。

 

離婚

もちお =プライスレス

 

換気扇ごときで生涯を共にすると誓った相手となぜ離婚しなければならないのかわからない。みなさんよくご存じないかもしれませんけれども、風呂場の換気扇と引き換えに出来るような男じゃないんです、もちおは。そんなにお安くないんですよ。換気扇が直ればいいんですよ。換気扇が。カビルンルンフォビアから自由になりたいのであって、もちおから自由になりたいわけじゃないのよ。だいたい幼少よりぶちくらされてきた親父の甘言にころっと騙されるナージャ顔負けのお人よしが、妻転がし師範にさからえるわけがないじゃないですか。

 

夫婦喧嘩

我が家の夫婦喧嘩の歴史ははてなハイクをさかのぼれば山ほど出てくる。でも別れないの。すきだから。でもすきとか嫌いとか湿気と関係ないから。愛があればなんでも夢のように耐えられるってもんじゃないの。

「俺ははてこさんのあれやこれやを愛でゆるしているのに、不公平だ!」ってもちおはいう。そうです、だいぶいろいろゆるしていただいています。*1でも九州男児に染まったら怒るからな。

 

それにしても換気扇壊れてからほんとよく喧嘩する。ほら、きっとあれよ。気の流れが悪いのよ。みんな湿気が悪いのよ。換気扇が直ったら喧嘩も減ってお金もざくざく入って健康になるよ、きっと。早く業者さん来ないかな。

 

ひとりになったらこんな遊びもできないんですよ。 寝るとき寒いし、つまんないですよ。

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*1:もちおがありのままの日々を綴ったブログを書いたらたいへんなことになると思う。


ベルサイユの九州男児

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修羅の国作法に反響があったので、今日はわたしが修羅の国をベルサイユとして理解していることをお伝えしたいと思う。 

九州男児のネゴシエーションがめんどくさいと書いたら「あーやだ、そんな男ペッペ!」という反応が各方面から来た。九州男児、男尊女卑で有名な九州。しかし九州の女性がみなそんな男性に辟易としているかといえば一概にそうともいえない。九州男児の存続は男女の協力によって成り立っている。

 

九州男児失格な人々

ここ九州に生まれ育ってた男性のなかにも、女性と男性が対等なのは当然だと思っている男性はいる。そういう男性は家事労働も外仕事も育児も介護もできるものがやって、互いに助け合うのが家族だと思っている。「女の仕事」を自分がやっても、「男の仕事」を妻のほうが得意であっても別段気にしない。

 

しかしこうしたリベラル男性は十分な稼ぎと体力、知力があっても「頼りない」「情けない」「気が弱い」という評価をえがちなのが九州。周囲の信頼があつい人なら「やさしい」といってもらえることもあるが、「頼もしい」「男らしい」とはけして言われない。

 

「あんなにいい息子だったのに嫁の言いなりになって」とこぼすお母様方の話をうかがうことがよくある。息子は嫁の口車に乗って実家の財産を横取りするとか、反社会的組織に加わるわけではない。嫁に尽くして家事育児、また妻の仕事に協力し、妻と実家で言い分が合わないときに妻の言い分を支持しているのだという。*1

 

これがお母様方の心をどれほど傷つけているのか、首都圏にお住まいの方にはぴんと来ないんじゃないかと思う。*2わたしも以前はまとめサイトで出てくる農家ネタは作り話だと思っていた。舞台が九州だと書いてあっても「嘘つけ、うちの実家はこうじゃない」と思っていた。でも来てみてわかった。ネタじゃなかった。

 

「息子が連れてきた女性がおかしな人で、娘と二人で心配している」

「どんな方ですか?」

「私たちの前で息子に甘えるの」

「どんな風に?」

「魚の小骨を、息子にとってもらっていたのよ」

とても深刻で恐ろしげな調子だった。器用でやさしい息子さんにお育ちになられてけっこうなことではございませんか、と思ったけれど、そんな風に返せる雰囲気ではなかった。

 

わたしは当初息子が嫁候補にとられてしまって嫉妬と寂しさから息子の恋人のやることなすこと気に入らないのかと思っていた。でも最近少しわかってきたのは、息子が女性からどう扱われるかは、息子の尊厳、ひいては親と家の尊厳にかかわることらしい、ということだ。

 

立派な男はよい妻を得る。夫を尊敬していればよい妻は夫に仕える。よい妻は家のこと、家事育児いっさいを取り仕切り、夫は外で仕事をする。よい妻は家で夫をくつろがせる。

 

夫が家で家事をするのは妻がよい妻ではないか、夫が尊敬されていないかのどちらか。立派な男は良妻をえるから、悪妻をえる男はたいしたやつじゃない。良妻が家事を怠るのは夫が尊敬されていないからで、妻に尊敬されない男はたいしたやつじゃない。

 

つまり妻の態度は男の社会的評価のバロメーターなのだ。そして息子の社会的評価は親の社会的評価のバロメーターでもある。地域での評価を安泰なものにするために、妻にはどうしても息子と婚家につくしてもらいたいと切実に思っている男女は少なくない。

 

この点、九州はベルサイユに似ている。

 

マリー・アントワネット九州男児

池田理代子の漫画「ベルサイユのばら」に、皇太子妃であったマリー・アントワネットが王の愛妾と宮廷内の立場をめぐって争うくだりがある。

 当時宮廷では身分の高いものから低いものに声をかけるきまりがあった。愛妾デュ・バリー婦人は15歳のマリー・アントワネットから挨拶を受けることを望むが、王の寵愛をほしいままにして権力を濫用する愛妾の存在を快く思わないものたちはマリー・アントワネットが無視を決め込むことを望む。

 

潔癖な少女であったマリー・アントワネットは「娼婦と口を利くなどもってのほか」とあからさまな無視を決め込むが、政治的なかけひきに敗れ、心ならずもデュ・バリーに声をかける。

「きょうは・・・べ・・・ルサイユはたいへんな人ですこと!」

これだけ。なんかもっと気の利いた意地悪でもいってやれよ、と思う。

 

しかしこのあとマリー・アントワネットは「うわあああああん!」と泣き叫びながら、苦悩のうちに走り去る。「きょうはベルサイユはたいへんな人ですこと!きょうはベルサイユはたいへんな人ですこと!負けた!皇太子妃が敗れた!」気にしすぎだよ、と思う。

 

しかしかのオスカルはマリー・アントワネットのこの姿にいたく心を打たれる。

「なんと誇り高く気高い心をもった女性だろう・・・!」

えー。

 

わたしは「平民ペッペ!まして娼婦!ペッペッペ!」と思うことを尊いと思わないので、「挨拶くらいしてやればいいじゃんな」と思う。しかし「高貴なもの」が「下々」に膝を折ることは敗北を意味し、周囲は負け犬を蔑みの目で見るという構造を理解すると、なるほど、マリー・アントワネットが泣いてしまうのもわかる。

 

九州男児はいわばマリー・アントワネットなのだ。民衆の尊敬を勝ち得る王妃たれと訓戒され続けたマリー・アントワネットはまだ15歳。その若さで王の愛妾におさまる怪物のような女性相手のパワーゲームを周囲に焚き付けられ、人前で敗れたら泣かずにはいられない。

 

右も左もわからないうちから「男の子だ」ともてはやされ、期待されてきた典型的な九州男児は非常に繊細でデリケートだ。女性から軽く扱われたと感じるとマリー・アントワネットのように傷ついてしまう。しかるべき敬意を勝ち得ていればこのような扱いを受けることはないはずだと考えてしまうからだ。

 

でも泣いたらいけない。男の子なんだから。だから怒りの沈黙に閉じこもったり、切れて暴れたりするしかない。酔っ払って心の痛みを忘れるしかない。マリー・アントワネットもオスカルがいなくて酒が飲めたら酒に溺れて暴れただろう。 

 

革命児型九州男児

 さて、ベルサイユ九州にはこのようなマリー・アントワネット型とは違うタイプの反骨精神に満ちた勇ましい男性もいる。

 

「そんなことをされたらおまえの面子も家の評判も丸潰れだ」と親に泣かれ、親類縁者や同級生からあきれられたり冷笑されたりしたとしても、「でっていう」とどこ吹く風で従来の「男の仕事」の壁を越えて妻と家を築くタイプの無法者である。

 

「女の仕事」に手を出す男、「男の仕事」を妻にゆるす男は情けなく、頼りないと思われている。しかしキャンプ地でなくても家事ができる男はかっこいい。「実際には「心配するな、俺に任せろ」と妻を眠らせ、深夜の授乳を引き受ける男性は頼もしい。

 

長期の育児休暇をとって、出産後の妻に代わって家事育児を引き受けた男性を知っている。彼の家事能力の伸び、子育てに対する気づき、妻への配慮はすばらしかった。頭がよくて頼りになるたくましい旦那さんね、すてき、と思う。

 

なによりそれらの評価が低い土地柄、土地に根ざした古い人間の見本市みたいな役所勤めの身で、民間企業に勤める妻の職場復帰を優先し、自身は職場への啓蒙の一貫として育児休暇の経過報告をfacebookで発信し続けるこの勇敢さ。

 

こういう勇敢な男性は福岡市内でもよく見かける。天神周辺でおしゃれな男性がさまざまな今風抱っこ紐で赤ちゃんを抱え、きりっとしたしかめっ面で一人歩いている。考えてみると気の弱そうな男性がそういうことをしているのを見ない。逆風に立ち向かう気概のある人にしかできないことなのかもしれない。

 

形のいいスーツをビシッと着こなしてママチャリに乗り、後ろの籠にヘルメットをかぶった幼い娘を乗せた男性を平日の午後、赤坂けやき通りで見た。病院帰りなのか、お迎えの帰りなのかわからないけれど、娘はお父さんを頼もしく思っていることだろうと思う。ご実家のみなさまが同じように息子さんを誇りに思っておられたらいいなと思う。

 

出戻り九州女子はロザリー

わたしは十代から東京、神奈川で人生を送ったのでベルサイユ九州の作法がよくわからない。貴族の子でありながら貧しい平民として宮廷作法を知らずに育ったロザリーのようなものだと思う。

*3

 「郷に入れば郷に従え」というが、ベルサイユではベルサイユの作法に従っておいたほうがいろいろ動きやすい。親の敵を討とうとしたロザリーに宮廷のマナーを教え込んだオスカルにはそれがわかっていた。

 

わたしもロザリーのように賢くなりたい。そしてかわいそうなマリー・アントワネットを極力刺激しないように配慮しつつ、レジスタンス勢力にはしっかり協力し、じわじわと目的を達成していきたい。ただ家庭内ではこういう芝居はやりたくないから、もちおがどっちの勢力に加担するつもりなのか、しっかり確認しておきたいのよね。

 

宮廷で暮らす時間が長いもちおが周囲の圧力をいっしんに受けながら、平民の感覚を保つのは難しいと思うけれど。

 

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*1:あんなに立派だった祖父を父が毛嫌いして見下していたのはいまにして思えばこのせいだったのだろう。

*2:こういう話が出るとき「息子の嫁」は関東が多い。広島、関西というのもあった。

*3:右のリボン娘がロザリー。

「男性という性の加害性」とかいう話に共感できない

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今日はブログを書く時間がないのであとで推敲しようと思っていたものをそのまま出します。

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「健全な男の性欲は強すぎるから男は自分で自分で抑えきれない」

という俗説がある。

 

ここから派生して

「だから男は頻繁に女と性関係をもっていないと鬱屈して暴走するのは当然」

「カップルであっても女性が性関係に応じないなら男が外に相手を求めるのは当然」

「若い男性は特に性的な衝動が強く未熟なので性犯罪を犯すのは仕方がない」

という話が出る。

 

またそうでない男性は「健全な男」の枠から外される。

「男のくせに女もいない。鬱屈して何をするかわからない」

「男のくせに浮気のひとつもしない。女房の尻に敷かれている」

「男のくせに漫画やアニメばかり見て現実の女に興味がない。異常だ」

「男のくせに男がすき。病気だ」

 

これと対で「女は性欲が薄く、男と比べて潔癖」という俗説もある。

 

そこから派生して

「女が男を拒否するのは性欲が薄く、潔癖だから」

「女が男性向けポルノを嫌悪するのは性欲が薄く、潔癖だから」

「女が男の性的嗜好を批判するのは性欲が薄く、潔癖だから」

などなどいろいろな言説が出る。

 

こういうのは根拠がない。

 

あの記事に寄せられた好意的なブコメの書き手は自責の念にかられた告解者に向き合う神父のような気分なんじゃないかと思う。性を嫌悪しながら性欲と性衝動を持たざるをえず、苦悩する巡礼者の罪深い告解者。

 

でも違うじゃん。性差や性衝動の問題じゃないじゃん。同じことを女性が男性にしうる案件だったじゃん、あれ。女は性欲が弱いからやらないとでもいうのか。

 

「男だから仕方ない」の理不尽さ

「男性の加害性」とよく言うけど、わたしは男性が生まれついて人を傷つける性だとは思わない。ただある種の行動を「男だから仕方ない、恥じることはない」と後押しされた結果、それが女性を傷つけることだとわからずに生きている人が多いとは思う。現在日本ではあまりにも男性の性衝動をおおらかに受け入れすぎているせいで、自分の言動が加害になることに気付いていない人が多いんだと思う。*1*2

 

娘と風呂に入りたがる父親の件でそこで父親との入浴がトラウマになったと書かれた増田について「私は、この増田記事の女性側の体験や思いというのは、想像もできなかった」と書いた男性がいた。

 

この方は当初「父親が娘とお風呂に入るのは性犯罪にならないのか?」を調べていて、結論として「結局は、家によってそれぞれだし、他人の家庭の風呂事情のことを不当に立ち入るべきなのじゃあないということだと思う」と書いた直後に父との入浴がトラウマになった増田の記事を読んだのだった。

 

なんで想像できないのかわからない。想像もつかなかったと読んで、こっちがびっくりした。これがいわゆる「男性の加害性」ではないかと思う。性衝動が問題なのではない。性衝動から他者の私的領域を軽い気持ちで侵害して、それが問題をはらんでいるかを知らない、気付かない、想像しない、あるいはできないことが暴力に繋がる。

 

これは小さい子供だってやる。子供は仔猫に夢中になっていじくりまわし、連れ歩こうとしたり、食べられないものを食べさせようとしたりして仔猫を弱らせることがある。「かわいい、かわいい」で悪気はない。ただ無知で想像力が足らないだけだ。

 

このような無邪気な無神経さ、残酷さはもちろん女性にもある。しかし女性は早い段階で望まない性的な親密さを押し付けられるという暴力を受ける。痴漢や露出狂などをふくめた性犯罪、制服を着たとたん性的なアイコンとして消費されることの不愉快さを身を持って経験し、痛い経験から他者の領域に無断で押し入ることが暴力だと学ぶ。

 

恋愛も性衝動もこの世を楽しく薔薇色にする力を持つものだ。だからといって「性衝動は健全なもの、女を蹂躙したいのは男の性、くよくよ悩まず気楽に考えよう」とはいえない。

 

誰もが社会的に容認されがたいもの、後ろ暗いものを抱えて生きている。そこを裁くことは誰にもできないとわたしは思う。でもそれこそが愛と性の本質だとか、性は暴力的なものだとか、この不均衡を肯定するような話には本当にうんざりする。

 

和姦なんて言葉を作り出さなきゃいけない現状がおかしい。女子を征服しろと男子を焚き付けることをやめろ。そして女子に求められてなんぼと教え込むのをやめろ。

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*1:小児性愛や児童の性的虐待が「いたずら」として取り合われなかったことなど。

*2:女に無神経さがないということではない。

モモンガの夢

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しなくていいことのナンバーワンがブログの更新なんじゃないかと思うんだけど、連続更新しつづけると落とすのが嫌になる。今日はさっき仕事から帰って緊張している。お風呂が沸いたからこれから入る。ふみこふみお先生みたいに14分で書きたい。*1

 

今朝モモンガを保護した夢を見た。

家の戸棚の中の箱に手のひらほどのモモンガがいる。いつからいるのかわからない。どこかの森から誰かがもってきてしまったらしい。何か食べるものを与えなければと思うけれど、モモンガは水を飲まず、特別な食べ物しか食べないのだ。どうやらそれはラズベリーらしい。

 

ラズベリーなんてどこで手に入るのか。八百屋やスーパーで手に入ると思えない。冷凍は?解凍すれば食べるのか。モモンガは襟元から服の中に入ってきて、袖と脇の間で丸くなっている。そうだ、野生のモモンガは木のうろに住むので空き箱にいれて暗くしてやらなければならないのだった。

 

空き箱を探して穴を空け、囲っていれてやろうとするがすぐ服の中に戻ってくる。暖かいからか。寒いのか。いつから食事をしていないのか。早くどこかでラズベリーを見つけなければ。手元のスマホAmazonを検索すると長い長い検索結果が出てくる。木の実のラズベリーはなかなか表示されない。これはモモンガの食べものではない。

 

モモンガがいた森の中にラズベリーがあるのか。しかしすでに数日絶食しているとしたら弱って食料を探す前に力尽きてしまうかもしれない。どうしよう。気ばかり焦る。

 

モモンガをいれた空き箱を開けると子猫も入っている。子鼠も入っている。ほかにも何かわからないげっ歯類もいる。ああ、誰が拾ってきたんだろう。これにも餌をやらなきゃならないんだろうか。いや、これは何でも食べるだろう。モモンガにラズベリーをやらなくちゃ。

 

と、いうところで目が覚めた。

 

むかし夢で猫を見るのは好きな人がいるときだった。犬を見るのは結婚や家族について考えているときだった。モモンガははじめてだ。モモンガはなんだろう。

 

「それでね、『もちおにラズベリーを使う時間をあげないとやばい』っていう意味かなと思った」

「そうだな。それだ」

 

さいきんめっきり開発から離れているもちおであった。9分。

*1:書くのが遅いのでいつも1時間前後、長いときは3時間くらいかかる。

換気扇問題進捗

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id:zaikabouさんへ。

窓がなく換気扇のまわらない風呂場でカビをふせぐ方法 - はてこはときどき外に出る

今更アレだけど、換気扇壊れててもとりあえず穴は開いてるわけで、外付けとかでとりあえず回避はできんものなのだろうか…

2015/11/17 16:15

b.hatena.ne.jp

 

簡単に図にするとこうなっている。

f:id:kutabirehateko:20151118005149p:plain

換気扇のダクトの大きさは10cm強ほど。通常ダクトと換気扇は蛇腹で接続され、微調整ができるようになっているのが主流だそうだけれど、仕様が古いせいか我が家はL字パイプと接着剤で接続されている。そのため換気扇の入れ替えにはL字パイプを切断し、新たな換気扇とダクトを接続しなければならない。

 

これらの作業を天井裏で行う必要があるのだけれど、浴室の天井は耐加重が小さいそうで、人が天井裏に入ることはできない。足場になる台を浴室に置いて、換気扇の手前の開口部から上半身を突っ込んで、天井に重心をかけないように作業しなければならないとのこと。(どうやってメンテナンスする予定だったんだろう?)*1

 

換気扇はTOSHIBA製だけれど、旧式だということにくわえてTOSHIBAが様変わりした関係で同じ型の換気扇が手に入るかどうかわからない。しかしダクトのサイズが違うものを入れるには天井裏の居室、浴室、トイレのそれぞれにあるコンクリの間仕切りをどうにかしなければならない。

 

新しい換気扇ともとのダクトを蛇腹で繋ぎ、蛇腹と接続部分でサイズを調整したいところだけれど、長さがそれほどないのでこれも難しい。

 

と、いうのが設備やさんのお話でございました。でもなんとかするって。今回の設備やさんはレスポンスも早く質問にはきはき答えてくださる年季の入った頼もしい人だで、こんどこそなんとかなるんじゃなかろうかと期待しております。

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*1:ご近所は「どうせ天井壊すなら風呂場ごと替えてしまえ」とユニットバスに乗り出したりしている模様。

たのしい図書館

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本屋には新書を探しにいくけれど、図書館へは名作を探しに行く。

 

兄は「中学校の図書館のSFはすべて読んだ」といっていたが、果たして入学してみると図書館のSF小説の貸し出しカードにはことごとく兄の名があった。これは土俵をかえるしかないと思った妹は児童文学ジャンルに乗りだした。

 

こうして「ナルニア物語」シリーズなどを読み進めるにつれ、ファンタジー好きな先輩後輩と知り合い、図書館にたむろして中学時代をすごした。

 

大人になってからは図書館の本をもちおとまわし読みした。ムーミンシリーズを二人で読んだ夏以来、町でムーミングッズをみかけると「あれを描いたのはトーベか弟か」と二人で審議する。灯台を見ればムーミンパパの狂気を思い出し、霜がおりた草原を歩けばモランを思い出す。仕事に疲れたら「わたしだって遊びたいわ」ともちおはムーミンママの真似をする。

 

寝込んでいた間はもちおだけが図書館へでかけた。妻がロシア小説にはまっていたあいだ、もちおはロシアの文学全集を手当たり次第に借りてきた。ドストエフスキーチェーホフは特別すきだったけれど、ロシア小説であればなんでもよかった。「ムツェンスク郡のマクベス婦人」や「現代の英雄」のスリルとサスペンスには病床の憂いを忘れた。

 

短い話はやはり二人でまわし読みをした。トルストイの短編小説に出てくる孤島に住む三人の老人の話は我が家で大人気だった。手を繋ぎ、夜の海を猛スピードで渡ってくる三人の老人の「あなたも三人、わしらも三人、おあわれみを!」という祈りの言葉を早口でいう遊びが二人の間で流行った。

 

子供の頃は星新一、「ナルニア物語」や「ゲド戦記」、ミヒャエル・エンデやエリナー・ファージョン、トールキントーベ・ヤンソン、そして宮沢賢治の本をみんなほしいと思った。谷川俊太郎の詩集も、竹宮恵子の「私を月まで連れてって!」や萩尾望都の「ポーの一族」も、返さないで持っていられたらいいのにと思った。

 

でも大人になって子供部屋を出てしばらくしてから、壁一面の本棚に囲まれて暮らすより、図書館のそばで暮らしたいと思うようになった。壁一面なんかじゃすぐに埋まってしまう。それに、わたしが一人で本と向き合える時間は短い。誰かがその本を読んで、どこかでその話をいっしょにするほうがずっといい。

 

だからムーミンは買わなかった。ロシア文学全集も買わなかった。太宰治全集も、夏目漱石全集も買わない。でも全集は、そして名作のシリーズは、一つの町に一セット、かならずそろっていてほしいと思う。

 

図書館はそうやってみんなで物語を共有するところだと思う。推理小説も、自伝も、絵本も、紙芝居も、画集も、図鑑も、数え切れないほどの人の手に渡りながら、心に残っていって欲しい。

 

本屋さんじゃ、だめなんだよ。
いま売れる本だということは時の試練に耐える本だという証拠にはならない。

 

違う時代の違う場所で、違う生活をしていた少年少女が、そして子供と大人たちが夢中になった本が、図書館にはある。
時を越えて時間差で同じ興奮を味わえるすばらしいメディア、それが図書館だと思う。

市立図書館って必要なんだろうか - ゆとりずむ

もちろん必要よ。

いろいろ便利な使い方もあるしね。

sanpogarden.hatenablog.com

 

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戸籍上親族な女友達

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今日は初心に帰って日記です。

 

人に会うのが苦手。でもここのところ連日出かけて人に会って話をしている。

 

仕事のやり方を変えようと思い、コンサルの仕事をしている知人や仕事繋がりの人たちにいろいろな話を聞いているのである。しかしなかなかしっくり来る話がない。届出や税金など事務的な面、経理のこと、仕事の整理の仕方を聞こうと思っていくんだけど、売り方や仕事の方針にかかわるところで意見をされる。道を聞いたら到着地を変えるようにいわれる感じ。

 

実は仕事に関しては継妹の話がいつも非常に参考になる。なんなの。巫女なの。

「ちょっと変な話なんだけどさ、あたしがはてこちゃんを雇ってる側だとしたら、こういう風につかう」 

といわれてはっとした。自分で自分を雇っていると考えて、雇っている人間のモチベーションを上げるとか、下げないように配慮するとか、そういう視点がなかった。だから自分にストを起こされてしまうんだな。

 

わたしは同業者に会うときは仕事の話をしたい。営業努力や最近勉強していることを知りたい。でも会うと、知らなくていい業界裏話のドロドロを嬉々として報告してくる人ばかりでつらい。「そういう話は間に合っているんで」といいたいけれど、相手の顔を潰さずに話を変えるのが難しい。

 

「そうか~。はてこちゃんはそこがいいとこだよね~。基本的にみんな『他人の不幸は蜜の味』なんだよ。だからそういう話題、ふつうは盛り上がるんだよね。わかりやすいコミュニケーションツールなんだよ」

「・・・! ・・・そうなの?!」

「そうそう。でもはてこちゃんはそういうのすきじゃないんだよね~。あたしはゲスな人間だからさ、そういう話、結構好きなんだよ。でもそれがイヤだっていうのははてこちゃんのいいところだと思う」

「そうか。『とっておきの話があるんですよ!』とうれしそうに言って来るのはそのせいだったのか」

「でもはてこちゃんはカモメのジョナサンみたいな存在だからさ、周りのことはいいんだよ。あたし、そう思うもん。あたし、あの話だいすき」

 

継妹は飲みながら話しているせいもあって、あれもこれも総動員でなんかめちゃめちゃ褒めてくれた。「録音しておいて悲しいときに聞き返したい」と思うような励ましをたくさんもらった。もちおと亡き祖父を別にすればわたしにこんなにエールを送ってくれる人はほかにいない。

 

「変なもんだよね~。縁もゆかりもない家の二人がさ、親が縁でこうして知り合うなんて。あたしはてこちゃんと知り合えて、本当にありがたいな、って最近思うの」。

 

わたしもだよ。この点では親に感謝している。

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自分を売り込むコピーの書き方

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自分を売り込むためにコピーの書き方を勉強中。関連した本を何冊か読んだ。街中でもらったチラシやポストに届いたカタログなんかも考えながら読んでいる。

 

たった1行で!売る お客様が思わず買ってしまう商品「キャッチフレーズ」の極意 (JBシリーズ)

いまのところいちばん参考になった本。名コピーが名コピーたるゆえんが具体的に、そして簡潔にわかりやすく書いてある。商業コピーってふわふわしたイメージを伝えるものじゃないんだなとよくわかった。この本を読んでからコンビニやスーパーに並ぶものを見る目が変わった。

 

ここらで広告コピーの本当の話をします。

いいこと書いてあるんだけど、いかんせんものすごい上から目線で、下っ端コピーライターを心底馬鹿にしている様子が鼻について読み通すのがつらい。もっと事務的に書いてほしい。なんか目的があって読者の神経を逆なでしているんだろうか。

 

わかりやすく〈伝える〉技術

コピーの本ではないけれど、文章の組み立て方を明解に教えてくれる本。作文や小説と、テレビのニュースや新聞の文章の組み立て方の違いがわかったことが大きな収穫だった。

 

最後まで読んでくれることがわかっている場合は起承転結で話をすすめていいけれど、見出しと数行目で注意をひけなかったら後はないという場合、見出しとさわりの数行でいかに内容を要約するかがたいせつというお話。

 

仕事で講義をするとき要約を前置きして話に入るようにしているけれど、要所要所でどこにいるか伝えたり、ゼスチャアでイメージを想起してもらうことで集中力をケアしていくことは思っていたより大事なことなんだなと思った。

 

自分と自分の仕事のコピーを書く難しさ 

しかしわたしの場合、自分の仕事のためのコピーの本当の難しさは自分を売り込むという気恥ずかしさにある。

 

「おすすめ!ふんわり、とろ~り!しあわせ色のオムライス。自家製ケチャップと地鶏を使ったチキンライスも自信作です」と書くかわりに、「卵を焼いて地鶏のケチャップライスに巻きました」と書くほうが正直な気がしてしまう。しかしそんな事務的な連絡事項を読んで仕事を頼みたいと思う人は少数なんですよ。バカバカ!はてこのバカ!

 

しかし今週話を聞きにいった人たちのおすすめは「ふんわり、とろ~り!」どころじゃなく、「完全栄養食の卵で恐ろしい成人病をノックアウト! 理想的な飼育環境で育成した厳選地鶏で精神バランスを完璧に整える奇跡のオムライス」くらいのことを書けと、こうおっしゃるわけですね。

 

商売のやり方っていろいろですね。JAROってなんじゃろ。そんなこと、できないわ。

 

まあ、とにかく枕を高くして眠れる程度に、もう少し自分の仕事を魅力的にアピールするようがんばっていきたいと思います。エイエイオー。

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小室友里先生の隠語責め指南

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「彼が隠語責めを望むけれどどうしたらいいかわからない」という女性からの質問に対する小室友里先生の答えが秀逸だったという話。

 

  1. 「隠語責め」でAVを検索
  2. 隠語をメモする
  3. 彼に目隠しをする
  4. メモを読む

 

アンチョコを読むための目隠しだった。

「彼がお子様ランチを作って欲しいというのですが、お子様ランチを作ったことがありません」という質問に、「お子様ランチ」で検索して作り方をメモしましょう、みたいなノリだ。

 

AVで調べた隠語メモを読んでる自分とそれに反応する彼ってかなりシュールな状況だ。「何やってるんだろう」感がすごい。

「バカバカしいと思いますか?セックスってバカバカしいものなんです」

 

でも愛していたら相手のファンタジーを叶えてあげたいと思うものだって。それで彼が悶える姿をかわいいと思えるはずだって。で、思えないならそもそも相手をすきなのかどうか考えてみたらどうかって。

 

ファンタジーにつきあう系の質問は逆パターンで「彼女にコスプレをしてほしいけれど嫌がられている。どうしたらいいか」「お互いMで責めるのは苦手」などがあった。

 

ただしAVではよくあるけれど肉体的に負担になるものについては「あれはプロが仕事でやっているのであって、実際やっても気持ちいいものではない」と強く警告してあった。

 

言葉責めやコスプレは身体を傷つけるものじゃないからね。でもコスプレするなら誰が着たのかわからないホテルの衣装は気持ち悪いと思う人もいるから、「彼女のために衣装を買ってあげる。できれば一緒に選んで買いなさい」とすすめられていた。 

「お金がかかる?そこまでしたくないというなら諦めなさい」だって。

 

小室先生、セックスは愛と努力が信条みたいだ。「愛していれば気持ちが通じて自然に上手くいく」ってもんじゃなくて、愛していたらお互いに自己開示するし、互いの願いやファンタジーを汲み取るもんでしょ!ってことね。

 

小室先生の女の口説き方指南の方は「いかがなものか」と思うところが多々あったけれど、*1この点では本当に「反省いたします」と思ったのであった。

 

 

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*1:女のOKサインとして上げられているものに共感を覚えなかったこともあるけれど、「バーまでいったら『タクシー呼んだ』っていえば断りづらくなる」はデートレイプ指南じゃん、と思った。

リソース配分

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やったほうがいいんだろうけど、やりたくなくてやっていなかったことをやった。

はじめてのことは時間がかかる。いつかすらすら出来るようになるんだろうか。

出来るようにならなかったとしても、やったほうがいいことだから、今日からやる。

稼ぐぞ、と思っている。

 

仕事のブログのPVがここのちょうど1/10くらい。

このところこっちのブログが走り書きばかりなのでPV落ちる。

でもその分時間がかかっている仕事のブログのPV上がればいいなあと思う。

 

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不倫は経済を活性化する

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不倫する人が社会に蔓延すると経済が活性化するので、それで潤っている人は不倫を肯定するだろうというお話。

ぱぷりこさんがはじめての不倫学について書いていた。

papuriko.hatenablog.com

「本気不倫はよくない →遊びでベッドを共にすればOK」という本みたいだ。へー。
この種の「不倫はよくない、だから」の後ろにトンデモ理論が続く本をわたしも知ってる。わたしが神さまから教わった成功するビジネスパーソンの新流儀もそうだった。

「本気の不倫は男の格を落とすからやめろ」だから「内緒にして遊びにとどめておけ」という話であった。へー。夫と子供があるのにさばけた人だねえ、井内さん。


井内由佳の信者には経営者の男性が多いようだ。「不倫する人は神さまが地獄に落とすっていってます」とふれまわっていては商売にならないのであろう。お客さんを敵に回さないためには妥協せざるをえない。たとえ「遊びの不倫」で家庭が深刻なダメージをくらっても知ったことではない。*1


井内由佳の場合はお客さんに不倫関係者がいるケースだけれど、こういう商売はけっこうある。以前観光地のレストランで働いていたことがあったけれど、どう見ても不倫というお客様はちらほらお出でになる。興信所や弁護士などずばり不倫関係者をお客さんにしている商売もある。恋愛相談=不倫相談みたいなサイトもある。不倫は経済を活性化しているのだ。

不倫に関係した出費

不倫には当然ながら既婚者が関係している。不倫費用は婚姻した家庭の中から出る。不倫したりされたりした場合、かかる費用には何があるだろうか。ざっと思いついたものをあげてみた。

名前不倫したりされたりする人生不倫が介入しない人生
不倫のための外デート-
不倫のための被服・理美容費-
不倫のためのホテル代-
不倫のための通信費-
不倫のための別宅家賃-
不倫のための悩み相談費*2-
不倫による妊娠処置費-
不倫のための精神医療費-
不倫のための浮気調査費-
不倫のための弁護士費用-
不倫による慰謝料-
不倫による離婚費用-
不倫離婚による養育費-
親の不倫による子供のメンタルケア費-


不倫が介入する家庭と介入しない家庭では出費に大きな差がつくことがわかる。「不倫しなくても酒やパチンコにつぎ込む人もいる、特にひどいとはいえない」と思う人もいるかもしれない。しかし不倫してなかったらかなりの額の金が残ったはずだ、という家庭も少なくないと思う。


その金はどこへいったのか。慰謝料や養育費は別として、その大半は不倫によってなんらかの商売を潤したのである。不倫は関係者を心身ともに貧しくするが、周辺の人間の懐を暖める。だから周りはお茶を濁す。いきつけの飲み屋に相談したって無駄である。不倫やめたら来てくれなくなるかなと思えばきついことは言わない。


不倫本が不倫関係者をいさめつつも慎重に断罪を避け、叙情的に扱っておくのもそのせいだろう。不倫本が想定する読者は罪悪感を感じつつもぬるま湯に浸っていたい人たちなのだ。糾弾すれば読者は離れていってしまう。ぱぷりこさんのように「パートナーの感情は?」などと返すと聞きたくもない夫婦の因縁を聞かされることになる。


ネットの不倫相談に居丈高で断定的な意見が集まるのは共感したところで相手から何も得られないからだ。ネットでだって特定のidなりHNなりで返答するなら敵を作りたくないからお茶は濁っていくだろう。逆切れされて粘着されるのイヤじゃん。ぱぷりこさんは「不倫、ダメぜったい」の姿勢でまっすぐだなあと思った。


リアルで不倫の噂を聞いたとき、わたしも断定的なことは言わない。言っている本人が別のところで不倫中だった場合、不倫を悪くいって怨まれるのはイヤだからね。あとまあうちの親の前で不倫をあしざまに言うと古傷をえぐることになるからそういう話は出せないよね。


こういうのって「最近の道徳の低下」による問題じゃないよね。文学から不倫をのぞいたら本棚スッカスカになると思うわ。kutabirehateko.hateblo.jp
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*1:「浮気されないように女を磨け」と書いている亭主関白万歳の井内のことだから、たぶん「夫をゆるさない妻は神さまにゆるされない」とか書くと思う。

*2:カウンセラー、民間資格相談員、関連書籍

あらためて、左利きが右手障害じゃないなら自閉症は?

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「障害者」の障害は自身の体じゃなく社会にあることもあるという話。

九州男児の母が嫁について嘆くのを聞いていたときのこと。

 

嫁から常識で考えてありえないことをされたと彼女はたいへんなショックを受けていた。仮にTさんとする。Tさんは、嫁が姑にそこまでするとは、嫁は非常識なのか、異常者なのか、相当な悪意と敵対心があるのだろうと思っていた。「なぜこんなことになってしまったのだろう、どうしたらいいのかわからない」とTさんは言った。

 

しかし詳しい話を聞いてみると問題の件は

九州男児ワールドの常識 ≠ 関東首都圏の常識

あるいは姑世代の常識 ≠ 嫁世代の常識

という話だった。わたしは嫁さんは悪意ある異常者ではなく、互いの常識と感受性の違いなのではないかと思った。

 

感じ方、発想の違いという話をしていて、自閉症の話が出た。するとTさんは

「そう、あの人、自閉症なのかも!」

と少し皮肉な笑顔でいった。

「そうですか? ちなみにわたしは自閉症なんですが」

とわたしはいった。Tさんははっとした顔をして慌てていいなおした。

「あら、そうだったんですか、嫁は自閉症じゃなくてあれ、ほら、なんとか障害?じゃないかって」

発達障害?」

「そうそう!話が通じなくて」

自閉症発達障害のひとつですよ。それで、わたしは自閉症なんですけれども、家では・・・」

「そんなことないわ!ちゃんとお話が通じるじゃありませんか」

「そうですか。それはよかった」

「そんなことをいったら、私だって自閉症よ。ううん、私の方が・・・」

Tさんはいたく同情的に自分を戒めるようにいった。

 

うううん。「異人は生き血を吸う」くらいの情報しかないんだな。わたしもかつて自閉症については大いに勘違いしていたので、仕方がないことなのかもしれない。わたしはこういうとき左利きと右利きの話をすることにしている。

 

自閉症は障害でも病気でもなく少数派

「ちょっと待ってください。会話が通じるかどうかの問題ではなくて、脳のタイプの問題です。会話が得意な自閉症者もいれば、会話が苦手で話が通じない非自閉症者もいます」

「え、そうなの?」

「左利きの人は生まれつき左利きですよね?でも右手が使えて、なんなら右利きより器用な左利きの人もいます。でもそれは『左利きじゃなくなった』『左利きが治った』わけじゃないですよね」

「ええ、そうね」

「右利きだけれど左利きの人以上に右手が使えない人もいます。でも右手が使えなかったら左利きということにはならない。自閉症もこれと似ています。脳のタイプが違っているので、頭の使い方や体の使い方が非自閉症者と違う。だから非自閉症者と発想も違うし、そこで思い違いが起きることがあるんです」

 

自閉症はそれ自体は病気でも障害でもない。しかし多数派の間で暮らす少数派が不自由するという意味では障害がある。右利き向きにデザインされた社会では左利きは右利きにあわせて暮らさなければならない。カウンターに座って食事をするなら使いづらい右手で箸を持つか、左手で箸を持っても隣と肘がぶつからない左端の席を取るかしなければならない。

 

多数派は利き手で箸を持つことが正しいと思っているので、相手が自分に合わせて利き手ではない手を使っていることに特に感謝しない。肘がぶつかれば相手が悪いと考える。しかし右利きが少数派の国へいけば状況はかわる。

 

多数派と少数派が会話をするときは、いわばこの箸を持つ手が見えない状態だ。少数派は多数派に合わせて話すか、多数派と肘がぶつかる状態で話すかになる。けれども少数派の感じ方や発想はそれ自体が間違っている、邪悪で反社会的というわけではない。

 

「お話をうかがっている限り、わたしにはお嫁さんが自閉症だとは思えません。でも自閉症でなくても話の通じない人、発想が違う人はいるし、自閉症であっても考え方や価値観が似ていて話の合う人もいます」

 

むしろ感じ方や考え方の違いは性格と文化によるものではないか、とわたしはいった。Tさんは思い当たるところがあったようで、納得されていた。

 

少数派が障害にならない社会

「わたしは自閉症当事者です」と伝えるといろいろな反応がある。そもそも「発達障害」という言葉が曲者だ。「定型発達」に対して「定型にならなかった」という意味だと思うけれど、定型発達があるべき姿だといえる根拠はない。あすなろはヒノキではないし、ヒノキになる必要はない。

 

とはいえ、「障害」というからには視力や聴力、あるいは手足が欠損しているのようなものだと思う人は、伝えた瞬間同情的な表情をされる。それまでふつうにつきあってきた人から「でもあなたはそれを乗り越えてきたんじゃない。もう大丈夫よ」と感動的なまとめに入られたこともあった。

 

精神異常だと思う人は身を固くしたり、「あなたは異常者なんかじゃない」と励ましてくれたりする。「人とコミュニケーションがとれない、相手の気持ちがわからない」という意味でいっていると考える人は「ちゃんと話ができているから大丈夫」とやはり励ましてくれる。さすがに「自閉」を「人嫌い、ひきこもり」と字面で勘違いしている人は減ってきたが、自閉症それ自体は人嫌いや内向的な性格をさすわけではない。これらはみな勘違いだ。

 

かつてLGBTは気質的な、あるいは精神的な病気だと思われていた。いまもそう思っている人はいる。これらに医学的、科学的な根拠はないとわたしは思う。それは「治す」必要のないことだ。けれども少数派であるLGBTが、異性愛が多数派という社会で暮らすことには、いろいろ不自由な点が多い。そういう点でLGBTはハンディキャップのある人、「障害者」といえるかもしれない。

 

前にも書いたけれど、かつて日本には左利きを矯正するために血のにじむような努力を強いられた時代があった。いまは違う。少数派を減らすことではなく、多様性のある人々が生きやすい社会になることが理想だと思う。

 

「人は右手を使うもの」からはじまって、「左手を使うのは病気」「病気じゃないなら目立ちたいからわざと左手を使っている」「同情されたいから病気だと思われたくて左手を使っている」「あんなに右手が不器用なのは、本当は左利きなのを隠しているからじゃないか」みたいに、うがった見方をするのっていろいろな意味でリソースの無駄だと思うよ。

 

d.hatena.ne.jp

男らしさの幻想が人を殺す

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はてこは九州男児を叩いてるとか憎んでいるとか軽んじているとかいってる人をあちこちで見た。彼らを追い詰めているのはむしろそっちの方なんじゃないかと思う人が何人かいた。

 

白金に生まれ育ったら誰でもシロガネーゼになれるわけではないように、九州に生まれ育ったら誰でも九州男児になれるわけではない。しかし白金に奥様文化があるように、九州という土地には男尊女卑、亭主関白の色濃い文化が確かにある。それを否定するのは現実否認だ。ただこうした男尊女卑文化は濃さの違いこそあれ全国、全世界にある。そしてそれで苦しんでいるのは女性だけではない。

 

わたしが「九州男児やばい」と思うときに思い出すのは母の友人Uさんとその旦那さんDさん。

 

Uさんは口八丁、手八丁、言葉はキツイがハートは熱く、面倒見もよければ恰幅もいいというやり手のおばちゃん。地域になじめなかった母を保護者会の席で吊るし上げ、びびらせてからぐっと距離を縮めて一気に親しくなり、離婚後も実の親以上に母の面倒を見た。暑苦しいほどの面倒見のよさと情の篤さがまさに典型的な福岡の女だ。

 

わたしは故郷を離れてからUさんとお会いする機会がなかったけれど、結婚後に帰郷したさい、夫とご挨拶へうかがったことがあった。

 

Uさんの夫婦論

「あらー!あんたかわらんねえ。さ、あがって、あがって!お土産?いーがー!そんなん気にせんで!まー!うれしい。はい、そこ座り。いまお茶を淹れるきね」

茶の間に案内され、すすめられるままに座っていると戻ってきたUさん一喝。

「あんた!なんね、旦那様がおるとに上座に座ってから!」

えー。茶の間はテレビと箪笥があるふつうの和室で、床の間があるような部屋ではなかった。部屋に入ったのがわたしの方が先だったので、わたしは奥に座っていた。Uさんはそれが気に入らなかった。招かれた身なので大人しく立って席を替わる。

 

Uさんは気を取り直して夫にいった。

「この子はこんなんあるきね、ちょっと変わっとうんよ。でもお腹の中にはなんっもないと。意地の悪いことやら考えちょらんきね」*1

Uさんは不出来な娘を頼む親戚のような暖かい口調でいった。それから続けて「旦那さんは博打はせんと?*2」と聞いた。

「しません」
「そうね!それならよかった。博打せんかったら酒と女遊びくらいはいいたい。博打はいけん。家がめちゃくちゃになるきね*3

Uさんは裕福だったご実家が博打好きな親族のせいでたいへんなことになった話を神妙な調子で話してくれた。わたしは(酒と女遊びも家をめちゃくちゃにするけどな)と思いながら大人しくうなづいていた。

 それからUさんは大好きな旦那様、Dさんの話をはじめた。

 

UさんのDさん自慢

「うちの旦那さんも博打はせんかった。あの人は仕事ひとすじよ。真面目やったき。面白いことはいうよ?でも何しろ仕事がすごかったもんね*4

Uさんは夫婦で事業を営んでおり、一時期は従業員もかなりの数だった。Dさんは地域の顔役でもあり、役所関係の人間に働きかけて地元の公共事業を推し進めたりもしていたそうだ。どこそこの幹線道路、どこそこのトンネル。あれもみんなあの人がやらせたんよ。愛するDさんの話をするUさんのまなじりは下がり、鼻の穴がどんどん膨らんでいく。

 

Dさんは従業員への見せしめにUさんを大声で怒鳴りつけることもあったという。
「仕事しよったら私が悪くなかっても『U子!』っち叱り飛ばされよったもん。たいへんよ。大声で怒鳴られてから、ずーっと説教されるんよ*5
「えー。悪くないのに?」
「そうよ。それはあの人の方針たい。従業員に直接いったら気にするやろ?やき私を叱ると」*6

「嫌な気持ちになりませんでしたか」
「それは、なしそういうか、わかっちょうきね。それでもちょっと腹の虫が悪かったらぷーっとするときもあるんよ。そしたら夜になってから正座させられるんばい*7

えー。

 

「正座させられて、『U子、今日の態度だけど、あれはどういうこと?』っちいわれるんよ。叩いたりはせんよ。でも謝ってもダメなんよ。『どういうことって聞いてるんだよ』っちいわれてから、泣くまで聞かれるばい*8

えー。

 

「それで子供たちが起きてきてね、『お父さん、お母さんをゆるしてやって』っちもうみんな泣いて泣いて。それで私が『もうあんたたち寝なさい』っち子供たちを部屋へ戻して、夜中までそんなんよ」*9

それで翌朝はまた早く起きる。Dさんは期末試験や受験時期も定期的に訪れる繁忙期には子供たちに仕事場で手伝いをさせた。これも従業員への教育の一貫らしかった。

 

「でも、おかあさんやりすぎよ。毎朝おとうさんの靴下はかせてやりよったやろ。あんなんする人、おらんばい*10
横から娘さんがいった。Uさんはちょっと照れくさそうによそ見をして聞こえないふりをしていた。

これはモラハラ旦那の愚痴でも、嫁としての苦労話でもない。頼もしい自慢の旦那さまについてのノロケなのである。

子供のころ、子供同士で親について話すとき

「うちのお母さんは本気で怒ったらめちゃくちゃ怖いよ!」

と互いに自慢しあったものだった。あれに似ている。うちの旦那さんはめちゃくちゃ厳しい。どうだ、立派だろう。

  

わたしがこの話を聞いたとき、Dさんはもういなかった。Dさんは仕事が暗礁に乗り上げたとき、精神を病んで家族が目を離したすきに世を去ったのだ。

 

”男らしさ”の呪い

Dさんはあるとき仕事に失敗して、ふつうのサラリーマンではとうてい返せないような借金を背負った。Dさんはそのことでかなり参ってしまい、すっかり気弱になった。やがて何を話しても暗いことしか考えられなくなり、精神病院へ入院した。

 

借金の額に圧倒されたのかというと、そういうわけでもなかった。よそさまのことだから詳しいことは知らないけれど、Dさんは高齢で富裕なお父様と同居しており、一人息子だった。ちょっとやそっとで家が傾く心配はなかったらしい。

 

それにやり手のUさんはピンチで燃える女性だった。「ここを乗りきらな先がないけんね、子供はもうみんな手を離れちょう。私もこれからは仕事一筋よ」Uさんは豊富な人脈と度胸をフルに活かして飛び込み営業をかけ、これまでなかったような大きな仕事をとってきた。

 

Uさんのがんばりはどれもこれもみんな愛する夫と家族を守るためだった。しかしUさんの勢いと反比例して、Dさんはどんどん弱っていった。そしてある日、自殺未遂をおこした。

 

「Uさん、怒ってご主人を怒鳴りつけたそうよ。『あんたがおらんやったら私はどうやって生きていったらいいと!』って」と母から聞いた。これはUさん流の愛の告白だった。亭主関白文化のなかでは「仕事のことは心配しないで私にまかせて、一人で背負い込まないで」は男に対する侮辱なのだ。実質がどうあれ、「あなたが家を背負うことを期待している」と伝えるのが筋なのだ。

 

しかしDさんは退院後も仕事場でぼんやり所在無くすごすようになり、家族がほんの数分目を離したすきに仕事場の一角で世を去った。Uさんはどこにどう手を回したのか、病気か事故かで届けを出した。あとには莫大な保険金とD家の遺産が残った。

 

男の体面と中高年男性の自殺率の高さ

日本の自殺者に中年男性が占める割合が多いという。わたしはかつてのDさんの頼もしさ、男らしさをノロケるUさんを見て、中高年男性が背負う荷の重さをはじめて理解できた気がした。

 

Dさんが病気を抱えていたことは間違いない。けれどもDさんが抱えていたであろう「早く治って家族を養わなければ」という気負いは「男らしさ」に煽られていたことだろうと思う。「精神病は甘え」「気が弱いやつが精神病になる、気力の問題」という思想のなかで暮らしていたら、そもそも精神の病で入院したことそのものを恥だと思っていたかもしれない。

 

九州男児」だけではない。「男は女よりすぐれた存在でなければならない」「女子供を養って一人前」「女は仕事に口を出すな」などなど、一見女性を虐げる呪いのようなこれらの文化は、「男らしく」生きられなくなった男性を追い詰める。

 

働けないこと、稼げないこと、自分ひとりの手に負えないような大きなミスをすること。こういうことは誰の人生にも起こりえる。けれどもこういった事態が男尊女卑文化の頂点に君臨するはずの男性に及ぼす影響は、ある意味でそこから外れた人々が受けるダメージより深刻だ。

 

昔は酒に強く、喧嘩が強ければ、稼ぎが少なかろうが、学がなかろうが、仕事がぱっとしなかろうが、「それでも男か」といわれることはなかった。逆にいえばいい学校を出ていい仕事に就いて稼いでいても、酒に弱く腕力がなければ軽んじられることもあった。

 

酒と喧嘩が禁じ手になり、失業率がこれだけ上がり、共働きで家事育児の分担が叫ばれる現在、かつての「男らしさ」を男性に求めるのは酷なことだとわたしは思う。いったいその基準にかなう男性がどれほどいるだろう。

 

「男性はデリケートでプライドが高い」「だから女性は男性を傷つけないよう配慮すべきだ」という人がいる。裏を返せば「男はすぐれている、すばらしい、そうでなければ男じゃない」という男社会思想は自尊心が弱く、精神的に脆いところを抱えた人間を大勢作り出すものだということだと思う。

 

「男だったらこうなるはず、そうならないのは男として失敗なんじゃないか」という考え方は当人だけでなく親兄弟も悩ませる。それが「嫁がうちのお殿様を傷つける、どげんかせんといかん」という舅姑の不安に繋がるのだと思う。どげんかせんといかんのは、男子かくあるべしの思想のほうだとわたしはおもう。

 

 

kutabirehateko.hateblo.jp

*1:この子はこんな具合に少し風変わりなところがあるのよ。でも腹黒いところは何もないの。意地の悪いことをたくらんだりはしないからね。

*2:ご主人は博打はしないの?

*3:そうなのね!それならよかった。博打をうたないのなら酒と女遊びくらいはいいわよ。博打はだめ。家がめちゃくちゃになるからね。

*4:うちの主人も博打はしなかった。あの人は仕事一筋なのよ。真面目だったから。面白いことはいうわよ?でも何しろ仕事がすごかったから。

*5:仕事しているときは私が悪くなくても『U子!』って叱り飛ばされていたもの。大声で怒鳴られて、ずーっと説教されるのよ。

*6:そう。それはあの人の方針よね。従業員に直接いったら気にするでしょう?だから妻の私を叱って知らしめていたの。

*7:それはなぜそういうのか、わかっているからね。それでもちょっと機嫌が悪いときはついムッとしてしまうときもあるのよ。そうすると夜になってから正座させられるのよ。

*8:正座させられて、『『U子、今日の態度だけど、あれはどういうこと?』っていわれるのよ。叩いたりはしないわよ。でも謝ってもダメなの。『どういうことって聞いてるんだよ』っていわれてね、泣くまで聞かれるのよ

*9:それで子供たちが起きてきてね、『お父さん、お母さんをゆるしてやって』ってもうみんな泣いて泣いて。それで私が『もうあんたたち寝なさい』って子供たちを部屋へ返して、夜中までそんな風なのよ

*10:いないよ

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